- 2025/12/11 掲載
安川電機とソフトバンクが「フィジカルAI」社会実装へ協業開始
ロボットの多能工化とリアルタイム判断を目指す
ビジネス+IT
フィジカルAIは、ロボットが周囲環境をリアルタイムに認識し、複雑かつ多様な状況下でも適切な判断・行動を取れる技術の総称であり、AIによる情報解析に基づいて物理的な動作を自律的に行うことを目指す。安川電機はこれまでモーション制御や産業用ロボット領域で培った技術を基盤に、AIを統合した自律ロボット「MOTOMAN NEXT」などを開発してきた。一方ソフトバンクは、AIと無線アクセスネットワーク(AI-RAN)を融合した通信技術やMEC(Multi-access Edge Computing)を活用したリアルタイム処理技術を提供し、膨大なセンサー情報や外部システムからのデータを低遅延で解析しロボットへ最適な指示を出す基盤を構築している。両社はこれらの技術を統合することで、従来型ロボットに比べて高度な判断力と柔軟な動作能力を持つロボットの実用化を図る。
今回の協業の第1弾として、次世代のビル管理システムと連携したオフィス向けフィジカルAIロボットのユースケースを共同開発した。このシステムは、MEC上で稼働するAIがビル管理システム、各種センサー、カメラなどから得られる情報を統合・解析し、状況に応じてロボットに最適な指示を与える仕組みを採用している。これにより、ロボット1台で複数タスクを柔軟にこなす「多能工化」を実現し、例えばオフィス内で備品の識別・搬送、清掃・整理など複数の作業を状況に応じて切り替えることが可能になるとされる。
協業の背景には、日本社会が直面する少子高齢化に伴う人手不足や業務負荷の高度化といった社会的課題がある。これらの課題に対応するため、単一作業に特化した従来型ロボットから脱却し、人と同じ空間で安全・効率的に共存・作業できるロボットの実現が求められている。安川電機とソフトバンクは、それぞれの強みを生かして日本発のフィジカルAI技術を社会実装し、製造現場のみならずオフィス、商業施設、公共空間など広範な領域でのロボット活用を促進する方針である。
両社は今後、今回の協業を基盤にさらなる技術開発や実装展開を進め、人とロボットが協調して働く未来の実現に貢献することを目指すとしている。
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