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- 2026/03/26 掲載
応募数がなんと10倍…?オフィス賃料高騰の裏にある「ヤバすぎる採用戦争」の影響
経済、不動産分野のライター。小売・飲食を中心とした企業分析記事や、都市開発、不動産市況に関する記事を手がける。理系の会社員だったが、ライター業に専念するため独立した。趣味で簿記・ファイナンシャルプランナーの資格を取得する。
高騰する東京23区のオフィス賃料……今はいくら?
東京23区におけるオフィス賃料の長期推移を追うと、リーマンショック前にピークを迎え、その後2010年代前半まで下落した。2010年代後半以降の景気回復局面では、空室率の低下とともに賃料が上昇していく。コロナ禍では主に大規模ビルの空室率が上昇し賃料が下落したが、23区全体の賃料はおおむね横ばいに推移した。2023年以降は空室率が縮小し、賃料が上昇していく。三幸エステートによると、丸の内・大手町エリアにおける大規模オフィスの賃料(円・坪)は2023年6月に4万円台まで戻り、2026年1月には初の4.5万円を突破した。一部報道によると、都心オフィスの空室に数十社からの引き合いが殺到するなど、払底状態にあるという。
根強い需要がある一方、供給数は限られている。大規模ビルの竣工時期が影響するため各年の供給数は変動が大きいが、東京23区では10万坪を下回る年もあり、供給が追いついていない。コロナ禍で賃料が著しく下がらなかったのも、供給数が少ないためと考えられる。
「郊外で月収10万円増」より「都内オフィス」が勝るワケ
23区では法人による好立地への移転が相次ぐ。大手では古河電気工業が2021年7月に本社を旧丸の内のビルから「常盤橋タワー」に移転したほか、KDDIが2025年4月に本社を飯田橋から「高輪ゲートウェイシティ」に移転した。古河電気工業の場合、出社とテレワークの併用を踏まえ、ミーティングスペースの確保やフリーアドレスの導入を進めた。中小企業でも台東区から品川区の雑居ビルに移転するように、23区内で移動する事例が相次ぐ。23区内で移転したIT企業の関係者は次のように話す。
「コロナ禍では出社制限をかけたが、その後の出社回帰の流れでは、従業員の働くモチベーションを上げるために移転して設備を更新した。ソファ席を設置し、展望の良い窓際の席を設けるなど、カフェのような雰囲気に変えた。離職率低減や採用強化の狙いがある」(IT企業の関係者)
従業員数100人規模のとある建設会社では埼玉・千葉など郊外で事業を展開する。都内の事業を強化するにあたりオフィスを構える必要はなかったが、営業強化や採用を強化する目的で新宿エリアに小さな事務所を借りた。
「建設機材も置けないので都内に借りる必要はなかったが、採用を強化する目的で都内に進出した。採用サイトで都内の事務所を紹介したところ、応募が10倍以上に増え、内定後の入社率も伸びた。郊外で給料を5万円増やすよりも効果が大きい」(建設会社の幹部)
仮に月収を10万円増やした場合、郊外でも採用は容易になるかもしれない。だが、既存の従業員がいるため大幅な人件費のアップはできず、東京で拠点を構えるに至ったという。 【次ページ】大阪・梅田「再開発ラッシュ」が引き上げる相場
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