• 2009/01/06 掲載

【インタビュー】SaaS市場への本格参入表明から半年、NECが取る独自の戦略とは(2/3)

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。

他ベンダとの連携で
SaaS市場の活性化を図る

 SaaS市場に挑戦するため、NECは数多くの企業とパートナーシップを組み、サービス開発を進めている。SaaS市場に限らず、現在のビジネス環境は変化のスピードが速い。1社ですべてのサービスを開発していてはそのスピードに対応できないが、それぞれが持っている技術を持ち寄ってサービスを開発すれば、より短期間に多くのサービスを展開できる。また、サービスとして完成させるためには多くの機能を作り上げなければならない。さらに、運用や課金、データセンター運営など周辺サービスの整備も必要だ。これらすべてを1社で開発することは非常に難しい。島野氏はこうした背景を説明してくれた後、次のように強調した。

 「1社でがんばって勝ち組を目指すのではなく、他社との連携でWin-Winの関係を目指すことが必要です」。

 こうしたNECのパートナー制度には、他社に見られない大きな特徴がある。それは、プラットフォームベンダを含めた多くの企業とパートナーシップを組んで市場活性化に取り組んでいるという点だ。一般的にITベンダがこうしたパートナー制度を展開する場合、自社の持つプラットフォームと連携できるアプリケーションベンダやサービスベンダを選んでパートナーシップを組むことが多い。しかしNECの場合は自社のもつプラットフォームにこだわらず、他のプラットフォームベンダを含めてサービス開発の場を展開している。

 「複数のプラットフォームベンダが参画する場があれば、これから参入するサービスベンダはプラットフォームにこだわらずに、良いサービスをスピーディに開発できます。まずは幅広いサービスを素早く展開してSaaS市場を活性化すること。これが一番大切だと考えています」。

 島野氏は、他プラットフォームベンダをも含めた連携の目的をそう語る。お互いにバッティングする製品ジャンルはあったとしても、そこにこだわるより連携するメリットの方が、市場全体としては大きいと考えているという。そのメリットはプラットフォームベンダ、サービスベンダ双方にある。たとえば中小のサービスベンダが自社サービスを開発する際、大手のプラットフォームベンダに対して技術情報の開示を求めたりシステムのカスタマイズを求めて交渉するのは難しい。NECはそうした際にもサービスベンダとプラットフォームベンダとの間に立ち、交渉の仲介をしていく。SaaS市場に向けた新サービス開発の場において、ポータル的な役割を果たしていきたいと、島野氏は言う。

 「プラットフォームベンダ、サービスベンダをつなぐポータルであり、プラットフォームを提供するベンダでもある。そういう立場でSaaS市場の活性化を図っていきたいですね」。

 島野氏はこのように立場を語り、プラットフォームベンダとしての役割についても説明してくれた。これまで、多くのプラットフォームベンダは自社プラットフォームに関して、有利な情報を優先して提供してきた。今後はそうではなく、公平な立場でより多くの情報を提供していくという。プラットフォームの仕様を示し、どのハードウェアやソフトウェアと接続できるのか、あるいはできないのか。どのような状況であれば連携でき、どのような状況において連携できないのか。そういった情報を、意思をはさまず公平にアウトプットしていく。それにより、サービスベンダは的確なプラットフォーム選択が可能になり、これまでより効率的なサービス開発が促されることが期待される。


関連タグ

関連コンテンツ

オンライン

ECサイトのSEO戦略 - CMS別の特徴も解説 -

今回のセミナーは、『ECのSEO』がテーマです。 24年6月より、国内EC大手の楽天市場が基本出店料を値上げするニュースが話題となるなど、自社ECの強化による収益性の改善に取り組みたいと考えている事業者様も多いのではないでしょうか。 また、Web 広告における重要なデータ サードパーティーcookie も24年内に主要ブラウザで廃止が予定されており、Web広告の効率の悪化も懸念されています。 「アプリやECなどの自社への会員登録をECサイトで増やし、マーケティングを強化したい」という事業者様も多いかと思います。 このようなお悩みを抱えている方において、主要ウェブチャネルである検索エンジンとの接続や、顕在的な顧客の獲得においてSEOは有力な解決手段となり得ます。ただし、ECのSEOは適切な戦略を見定めることが非常に重要となります。 「検索回数が多い、ユーザーがよく検索するワードで上位獲得したい」と思っても、超大手ECサイト・ナショナルブランドECサイトが立ちはだかり、簡単には上位獲得できないケースが多いです。 また、「ブランドイメージを壊さない範囲でしか実装ができない」といった制約により、対策方法が定まらず、前に進めないケースも多いです。 自社ECでは、このようにキーワード戦略やターゲティングの設定、および実行力の部分が他業界のSEOよりも高難易度となります。 今回は、SEO観点でサイトのタイプを定義した上で、それぞれのパターンにて陥りがちな問題や、それらを解消する有効なSEOの方針を解説します。 また実際に上記の戦略や制約に沿って実装した施策や、アプリとの接続性などの観点で近年、お問い合わせが増えているCMSについても、簡単に解説します。 ご参加いただいた方には、ユーザー目線のサイト作りをサポートする「インデックス率チェックシート」をご用意していますので、ぜひご参加ください。

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます