- 2026/10/12 07:00 掲載
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IoTの教訓を生かせるか? フィジカルAI時代の成否を分ける点
フィジカルAIをめぐる熱狂を見ていると、ある既視感がある。2010年代に盛り上がったIoT(モノのインターネット)だ。当時も「製造業の革命」「デジタルと物理の融合」と喧伝されたが、実際にはPoC止まりで終わったケースが多く、実用化に成功した企業と失敗した企業の間に大きな差が生まれた。西脇氏は、このIoTの教訓こそが、今のフィジカルAI導入を考えるうえで重要だと指摘する。
「IoTも非常に過熱しましたが実際には、しっかり結果を出した業界・企業と、一過性の盛り上がりで実需につながらなかった部分があったと思います。同様に、フィジカルAIにも社会、実際の現場実装が進めやすい業界と、そうでない業界があります」(西脇氏)
10年前のIoTブームに多くの日本企業が課題として直面したのは、現場知識を活用可能なデータとして持てていなかったことだ。現場のノウハウは個人や部門に分散しており、それを可視化・分析する基盤がない。
西脇氏によれば、過去10年でその状況はだいぶ改善されてきた。クラウドの普及やデータ構造化の取り組みが進んだことに加え、AIの活用によって分散した情報をデータ化しやすくなってきたという追い風もある。
しかし、課題が完全に解消されたわけではない。「しっかりデータを取れる、活用できる環境をないがしろにせず作ること」が、フィジカルAI導入で成功するための土台になると西脇氏は強調する。
経営者が「フィジカルAIをやれ」と号令をかけるとき、最初の90日間に何をすべきか。西脇氏は2つのポイントを挙げる。
「フィジカルAIのユーザー側の視点で言うと、どこにどう使うのか。ROIを見てどこに使うのかをロードマップとして作ることが、すごく大事だと思います。一気呵成に全部入れようとしてもうまくいきませんし、かといって様子見を続けていても、グローバルの先行企業にどんどん引き離されてしまいます」(西脇氏)
もう1つが、プロセスの再設計という発想だ。単に「今の業務の人をロボットに置き換える」だけでは、ロボットと人間の労働力を入れ替えたにすぎない。ロボットが入ることで「そもそもこのフローは人間が一切関与しなければもっと効率化できるのでは」という根本からの問い直しが、イノベーションにつながる。
「既存業務をそのまま改善するのではなく、AIを使うことで人間の関与を最小限にできないか、といった視点で将来のあるべき姿からワークフローを再設計することが、非常に重要です」(西脇氏)
これはフィジカルAIに限らず、AI活用全般における「基本中の基本」でもある。しかし製造・物流などの物理的な現場では、プロセス変更には現場スタッフの意識改革が伴う。ホワイトカラー領域よりも、人間側の変革管理が難しくなる点を忘れてはならない。 【次ページ】SIerの役割はどう変わるか──「現場設計力」が問われる時代へ
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