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- 2011/02/07 掲載
ヒューマンエラー対策を航空業界から学ぶ:全日本空輸 宮崎志郎氏インタビュー
ヒヤリハットとハインリッヒの法則
ヒトが起こすミスのことを「ヒューマンエラー」と呼びますが、ヒューマンエラーには大きく分けて2種類あります。1つは意図しないエラーです。うっかりミスや思い込みによるミスがこれにあたります。もう1つは意図的なエラーです。たとえば、スピード違反を原因とする自動車事故などがこれにあたります。明らかに規則を守らなかった結果、起きるエラーです。
重要なことは、こうしたエラーに早めに気づき、大きな事故にいたらないようにすることです。ヒヤリとしたりハッとしたりする経験を「ヒヤリハット」といいますが、このヒヤリハットを吸い上げる仕組みを作ることが大切です。
ヒヤリハットに関しては「ハインリッヒの法則」がよく知られています。これは、1つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背景には300の異常(ヒヤリハット)が存在するという法則です。この法則は、過去の事故からも実証できます。
まず、2005年に発生した鉄道の脱線事故です。この事故は、速度超過が原因でカーブで脱線し、107名が死亡しました。その後の事故調査報告書に書かれていた内容の中に、「2003~2004年にかけて行われた日勤教育は321件であった」ことがわかっています。 つまり、「日勤教育」の目的からヒヤリハットに相当する事象が300を超えていたのです。
次は、2004年に発生したビルの回転ドアに幼児がはさまれて亡くなった事故です。 その後の調査でわかったことは、事故が起きる1年前までに、その回転ドアに挟まれて、救急車で運ばれたり手当てを受けた事例が32件あったという事実です。
ヒヤリハットの段階で、再発防止をする仕組み作りが必要になるのです。
【次ページ】ヒューマンエラー対策、個人でできる対策と組織で取り組む対策
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