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- 2015/06/11 掲載
狙い目のアジア諸国、事業資金をいかに調達するか? その金流を考える
東南アジアに事業を展開、出資する日系企業と投資家
グリーベンチャーズの堤氏は現在、AT-1という投資事業有限責任組合を運営し、約50億円のファンドを日本や東南アジアを中心に投資している。同氏は、インドネシアでは価格比較サイト「preicearea」、大手ECサイト「BukalaPak」、ファッション大手ECサイト「BERRYBENKA」を、またフィリピンでは送金サービスの「ayannha」などのEC関係や、モバイル広告サイト「YOYO」を、インドネシアでは不動産情報メディア「URBANINDO」といったメディア・広告関連を手厚くサポートしている。
アグリホールディングスの前田氏は、農業を中心としたホールディングを行っていたが、リアルビジネスが面白く、自分でもビジネスを始めてしまったユニークな人物だ。アジアでは、シンガポール初の日本米おにぎり専門店「samuraice」などを展開し、バリューチェーンを構築している。
一方、住友商事の竹内氏は、国内のITに関わる新規ビジネスや、グローバルな視点での投資を行ってきた。もともと同社は、メディア事業が強く、CATVのJ:COMや、テレビ・通販サイト「ShopChannel」、日用品ネット通販「爽快ドラッグ」などのビジネスを展開していたが、国内の成功体験をアジアにブリッジし、さらなる成長を目指そうとしている。2013年からは、タイでShopChannelを開始、2012年から台湾で「Tomod′S」という3店舗のドラッグストアを出店。また爽快ドラッグは日本だけでなく、中国、ベトナム、インドネシア、マレーシアなどでECを展開中だ。
この2~3年前から一気に投資環境が激変した東南アジア
一方、住友商事の竹内氏は2003年からベンチャー投資をスター。最初のころは投資額の8割にあたる15億円ぐらいを中国に当てた。「中国には投資環境が整っている。NASDAQにも上場できるし、中国人は起業して会社を売って一旗揚げようという欧米的なマインドが強い。一方、東南アジアは投資できても、出口の“売り”の部分で流動性がなく、なかなか進出できなかった。環境が変わり始めたのは、この2~3年前から。去年から我々も一気に東南アジアへシフトした」(竹内氏)。
事業家の目線から前田氏は、リアルビジネスの面白さを説いた。「アジアは人口が多いので、人もモノも金も動く。この3段論法を愚直にやっていくことが最善策だと思う。我々は、日本では農産物(米)を作り、マーケットを広げるためにアジアに出た。そこでシンガポールで現在のおにぎり事業を始めた。一個の価格は3ドル(約270円)なので、高級に感じられるが、現地ではラーメンでも12ドルぐらいが普通だ」(前田氏)。
「リアルビジネスという点で、インドネシアとミャンマーがホットだ」と語るのは竹内氏だ。「インドネシアでは“OTO”というオートファイナンスのビジネスがシェアナンバー1だ。これは、自動車のディストリビュータに加え、オートローン事業を展開するもの。GDPが2万ドルを超えると一気に自動車が買えるようになる。ミャンマーでは、国営郵便・電気通信事業体のMPT、KDDIとの間で、携帯電話会社を展開中だ。3年間で人口の90%以上に携帯電話を持たせる計画だ。日本ではコスト面で勝てないため、住商の強みを発揮させ、現地パートナーを発掘している」(竹内氏)。
【次ページ】 これからアジアで投資したい注目の国とは?
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