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  • 2018/06/15

「次世代リチウムイオン電池」戦争勃発、4候補のどれが有力なのか

EV、スマートフォン、ドローンで需要増

EV、スマートフォン、ドローンとバッテリーを使用する機器の増加が見込まれている。現在最も一般的なバッテリーはリチウムイオン電池だが、長い充電時間、短い寿命などが課題だ。そうした中で、リチウムイオン電池の課題を克服する次世代バッテリーへの期待が増している。「ポストリチウムイオン電池」はどのバッテリーか? 次世代バッテリーの4候補、ソリッド・ステート・リチウムイオン電池、ソディウム・イオン電池、グラフェン・バッテリー、リキッド・フロー・バッテリーを紹介する。

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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バッテリーの需要は増す一方。でも既存のリチウムイオン電池ではニーズは満たしきれない
(© tksz - Fotolia)


現在の主流、リチウムイオン電池の課題

 テスラがいよいよモデル3のデリバリーを開始し、2018年には全世界で本格的なEVの普及が始まり、EV元年になると予測されている。

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世界の電気自動車生産と電気自動車用リチウムイオン電池需要(2008-2020)
(出典:Roskill)

 しかしここでネックとなるのがバッテリーのチャージ問題だ。テスラは現在全世界に1261か所のスーパーチャージステーションを持ち(2018年6月12日現在)、スーパーチャージャーの数は10021(2018年6月12日現在)。テスラでは今年から来年にかけ、この数を数千単位で増やすとしている。しかし、スーパーチャージャーステーションでもフル充電には最低でも1時間はかかるという問題は解決されていない。

 それとはまた別に、現在最も普及しているリチウムイオン電池そのものにも課題がある。充電時間の他にも本体が過熱する、電池としての寿命が長いとはいえないといった課題だ。さらに、EVが普及したとしても、現在自動車メーカーが出しているバッテリー保証は5年10万キロ程度が一般的で、それを過ぎると、数十万円を支払いバッテリーを交換する必要が生じる。また、バッテリー自体の体積と重量がEVにとって大きな負担にもなっている。

 こうしたことを鑑みると、次世代バッテリーに求められるのは充電時間が短縮されること、加熱などのリスクが軽減されること、寿命が長くなること、軽量小型であることが中心だとわかる。もちろんバッテリー製造コストがリチウムイオン電池を上回らないことも大切な要素だ。これをカバーできる次世代バッテリーは実現できるのか。

次世代バッテリーの候補1:ソリッド・ステート・リチウムイオン電池

 まず、次世代バッテリーの候補として有力視されているものを見ていこう。最有力と目されるのは現在のリチウムイオン電池の進化版であるソリッド・ステート・リチウムイオン電池だ。

 この分野ではトヨタ自動車の研究部門と東工大のチームが一歩リードしており、2016年の時点で米ネイチャー・エナジー誌に論文を発表している。

 論文によると、この技術により7分間でチャージできる上、低温や高温状態でも性能が落ちないバッテリーが実現できるという。この技術は特にEVやハイブリッド車にとって有用なものになると期待されている。

次世代バッテリーの候補2:ソディウム・イオン電池

 同じく日本がリードしている技術としてはソディウム・イオン電池(ナトリウム・イオン二次電池)がある。レアメタルであるリチウムの代わりに安価なナトリウムを使用することで電池の価格が大幅に下落するため、EVの他、太陽熱発電の蓄電用などにも流用できる可能性がある。2015年にはフランス国立化学センターがPC用バッテリーの市販用プロトタイプの開発に成功しており、今後5~10年で実用化が急速に進むと考えられているバッテリーの1つだ。

【次ページ】次世代バッテリーの覇権を握るのはどの企業か?

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