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  • 2019/05/14

ティール組織とは? その意味や事例、デメリットまとめ

組織開発は、古今東西を問わず、企業にとっては重要な課題だ。今までもさまざまな組織論が生まれてきたが、2018年より大きな注目を集めているのが「ティール組織」だ。「名前は聞いたことがあるが、概念をよく理解できていない」「そもそも、実現可能なのか疑問が残る」。そう感じているビジネスパーソンも多いのではないだろうか。しかし、実際にティール組織を導入して成果を上げている企業も存在している。ここでは、ティール組織の概要やよくある誤解、成功事例について解説していく。

田中 仁

田中 仁

大手総合商社にて10年間勤務し、新規事業開発を中心に資金調達、財務・会計等を担当。東京のほか、アメリカのベンチャーキャピタルやイギリスの金融機関等にて勤務経験もある。

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次世代の組織モデル「ティール組織」とは何か?
(Photo/Getty Images)

ティール組織とは何か

 ティール組織とは、社長や上司がマイクロマネジメントをしなくても、目的のために進化を続ける組織のことだ。そのため指示系統がなく、メンバー一人一人が自分たちのルールや仕組みを理解して独自に工夫し、意思決定していくという特徴が見られる。

 ティール組織という概念は、2014年にフレデリック・ラルーの著書「Reinventing Organizations」で紹介された。彼は著書の中で「旧来のマネジメント手法は成果が上がっており正解だと思われているが、実は組織に悪影響を与える可能性をはらんでいる」と指摘している。

 このように、旧来型組織とは一線を画する組織のあり方として提示されたのが、ティール組織だ。

 ティール組織に移行する意味や期待されていることとは、何か。それは、組織内の階層的な上下関係やルール、定期的なミーティング、売上目標や予算などといった、当たり前のように行われている組織構造や慣例を撤廃し、意思決定に関する権限や責任を管理職から個々の従業員に譲渡することで、組織や人材に革新的変化を起こすことだ。

ティール組織に至るまでの組織フェーズとは

 ティール組織を提唱したラルーは、ケン・ウィルバーのインテグラル理論における「意識のスペクトラム」を元に、組織フェーズを5段階に分けてとらえている。その内容は、以下の通りだ。

・Red(レッド)組織:個人の力で支配的にマネジメント
・Amber(琥珀)組織:役割を厳格に全う
・Orange(オレンジ)組織:ヒエラルキーは存在するが、成果を出せば昇進可能
・Green(グリーン)組織:主体性が発揮しやすく多様性が認められる
・Teal(ティール/青緑)組織:組織を1つの生命体としてとらえる

 特徴的なのは、ティール組織はレッド組織以降の組織の進化を内包しているということだ。ティール組織は突然変異的に生まれた組織のあり方ではなく、進化の過程で必要なものを組み込んだ結果、誕生するのである。

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ティール組織への5つの段階
(編集部作成)


ティール組織への5つの段階

 では、5段階の組織について概要を解説しよう。

・Red(レッド)組織:個人の力で支配的にマネジメント
 レッド組織は「オオカミの群れ」と比喩される。特定の個人の力で支配的にマネジメントするという特徴を持ち、力に従属することで構成員は安心を得ることができる。この組織は短期的な目線で動いており、組織としてどのように生き抜くかのみに焦点が当たっている状態だ。個人の力に依存するため、再現性のない組織形態とも言えるだろう。

・Amber(琥珀)組織:役割を厳格に全う
 琥珀組織は「軍隊」と比喩される。上意下達で厳格かつ社会的な階級に基づくヒエラルキーによって情報管理が行われ、指示命令系統が明確な組織だ。厳格に役割を全うすることが求められる点が特徴的であり、レッド組織よりも長期的な目線を持った組織に進化している。

 ヒエラルキーに基づく役割分担によって、特定の個人への依存度を減少させることが可能になり、多人数の統率も実現できる。構成員は安定的に継続できる組織を目指している。しかし、琥珀組織は今の環境が不変でないと継続できないという前提があるため、状況変化に柔軟に対応できず、変化や競争よりもヒエラルキーが優先されるという課題をはらんでいる。

・Orange(オレンジ)組織:ヒエラルキーは存在するが、成果を出せば昇進可能
 オレンジ組織は「機械」と比喩される。階層構造によるヒエラルキーが存在しながらも、成果を上げた構成員は評価を受け、出世できるという組織だ。ヒエラルキー内の流動性が付与されているため、時代に応じた能力や才能を持っている個人が力を発揮しやすい。変化や競争も歓迎され、琥珀組織に比べてもイノベーションが起きやすくなっている。

 しかし、数値管理によるマネジメントも徹底されており、構成員は常に生存のための競争を強いられることになる。その結果、機械のように絶えず働き続けることが助長され、人間らしさの喪失につながってしまうのだ。現代の企業マネジメントの大半は、オレンジ組織に集約されると考えられるだろう。その結果、人間としての幸せは何かという原点回帰が生じ、働き方改革という動きへとつながっているのだ。

・Green(グリーン)組織:主体性が発揮しやすく多様性が認められる
 グリーン組織は「家族」と比喩される。オレンジ組織のように社長や従業員といったヒエラルキーは残すものの、その人らしさを表現でき、主体性を発揮しやすく個人の多様性が尊重されやすい組織となっている。単に目標を達成することだけが良しとされるのではなく、組織に属する個人に初めて焦点が当てられるようになった。

 しかし、社長の権力がどのように組織内に分配されるかといったルールがないため、構成員間での合意形成に時間を要してしまう場合がある。また、合意形成が取れない場合は、最終的に社長が意思決定権を持つことになる。このような制約はあるものの、多様性が尊重されるため、構成員にとって風通しのよい組織となる。

・Teal(ティール/青緑)組織:組織を1つの生命体としてとらえる
 ティール組織は「生命体」と比喩される。組織は社長や株主だけのものではなく、組織に関わるすべての人のものととらえて、「組織の目的」を実現するために共鳴しながら行動をとる組織のことだ。ティール組織には、マネージャーやリーダーといった役割が存在せず、上司や部下といった概念もない。

 社長や管理職からの指示命令系統はなく、構成員全体が信頼に基づき、独自のルールや仕組みを工夫しながら目的実現のために組織運営を行っていく。そして、ともに働く構成員の思考や行動がパラダイムシフトを起こすきっかけとなり、さらなる組織の進化につながっていくのだ。

ティール組織実現のための3つの突破口

 ラルーは、ティール組織の共通点として、「セルフマネジメント(自主経営)」「ホールネス(全体性の発揮)」「組織の存在目的」という3点があることを発見した。氏の著書の中では、これら3つの共通点は「従来の組織からティール組織へと進化させる突破口(ブレイクスルー)」と表現されている。では、それぞれの突破口の概要について解説していこう。

・セルフマネジメント(自主経営)
 ティール組織におけるセルフマネジメントとは、意思決定に関する権限と責任を全構成員に与え、一人一人が第三者の支持を仰ぐことなく、自ら設定した目標や動機によって生まれる力を組織運営に活用することである。

 従来の組織では部門化されていた人事、経理、営業、企画など、あらゆる業務の執行や判断を個人、チームに任せることになる。これは単なる権限の委譲ではない。上から意図的に譲渡されるのではなく、ティール組織では全構成員が等しく権限を持っているのが自然な状態だからだ。

 ティール組織には固定化された部門や役割の代わりに、その時々の状況に応じて流動的に生まれる階層やチーム、ルールが多数存在する。構成員は組織の活動を円滑にするための道具として、自らこれらを生み出し適切に活用するのだ。

【次ページ】ティール組織実現のため突破口をさらに解説

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