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  • 2024/04/12 掲載

D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)とは、13年間実際に取り組んでわかった秘訣

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SDGsの推進などを背景に、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」という言葉を、メディアや企業内で耳にするようになった。ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは、多様な人材がお互いに個性を尊重し合うことを指す。本稿では、「D&Iアワード2023」の最高評価を3年連続で認定されたベルシステム24ホールディングスのD&Iプロジェクト責任者、人材開発部 人事企画局 局長の君島 晴美氏にD&Iのメリット・デメリット、進め方の秘訣などについて解説してもらった。
執筆:ベルシステム24ホールディングス 人材開発部 人事企画局 局長 君島 晴美

執筆:ベルシステム24ホールディングス 人材開発部 人事企画局 局長 君島 晴美

ベルシステム24に新卒で入社後、人事業務を幅広く経験。2016年ダイバーシティ推進グループ新設時よりダイバーシティ推進に携わり、2019年からダイバーシティ推進責任者として女性活躍・LGBTQ+・男性育休・企業内保育所・健康経営など多岐にわたるテーマに取り組む。2024年3月から現職。

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ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは何か?
(Photo/Shutterstock.com)

ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは何か

 ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)とは、ダイバーシティ(多様性)とインクルージョン(受容・包括)の意味から、性別や年齢、障がい、国籍、ライフスタイル、職歴、価値観などにとらわれず、多様な人材がお互いに個性を尊重し、認め合うことを指す。

 また昨今では、D&Iにエクイティ(公正性)を加えて、ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン(DE&I)という言葉も広がりつつある。

 D&Iが広がり始めた背景には、労働人口の減少のほか、日本の企業力低下も要因の1つと考えられている。

 バブル期には、企業の世界時価総額ランキングでトップ50に日本企業がいくつも名前を連ねていたが、バブル期以降、日本企業は急速に力を失う。2000年代に入ってからは、少子高齢化により労働力不足が進んだ一方で、働き方や価値観、顧客ニーズ、消費傾向が多様化。日本の企業はグローバル化を迫られ、海外の顧客ニーズに対応できる優秀な人材の確保が求められていた。

 これまで経験したことのない変化に企業が対応するには、従来の価値観や考えのままでは太刀打ちできない。そのため、企業経営に多様な視点を取り入れて想定外の変化にも対応できる土壌を整備することや、労働人口減少の時代で優秀な働き手を確保していくこと、多様化する顧客ニーズをキャッチすること、異なる視点やアイデアを組み合わせてイノベーションを起こし続けていくためにも、多様な人材があらゆる階層で活躍できる組織へ変革する必要があった。

 そうした時代背景の中で、D&Iが注目されるようになっていったのだ。

日本の女性活躍推進は「世界最低レベル」

 現在、さまざまな企業が、女性活躍推進をはじめとしたD&I推進に取り組まなければならない状況にある。

 内閣府男女共同参画局の資料(注)によれば、2012年から9年間で女性就業者数は約340万人増加し、上場企業の女性役員数は約4.8倍に増加した。しかし世界経済フォーラムが2023年6月に公表した「ジェンダー・ギャップ指数2023」によれば、日本は過去最低の146カ国中125位となった。

注) 出典:内閣府男女共同参画局の『女性活躍に関するデータ』(2021年7月19日発行)

 先進国の中で最低レベル、アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国よりも低い結果になっており、ダイバーシティ推進が遅れていると言わざるを得ない。だが言い換えれば、日本は先進国に肩を並べるような女性活躍推進、D&I推進といった取り組みによって、企業成長につながる可能性を秘めているとも言える。

D&Iのメリット・デメリット

 D&Iは経営面でもメリットがあると言われている。ここでは主に2つを挙げよう。

■メリット:株価
 前述の内閣府男女共同参画局の資料によれば、半数以上の投資家は、投資判断において企業の女性活躍情報を活用していると答え、その理由として約9割が「企業の業績に影響があるため」という回答をしている。さらに、海外では経営幹部における女性の割合が高い企業ほど、株価のパフォーマンスが高くなっており、経営にも大きくプラスに働いているとのデータもある(図1)。

画像
図1:女性活躍情報は投資判断の重要な指標となっている
(出典:内閣府男女共同参画局の『女性活躍に関するデータ』(2021年7月19日発行))

■メリット:採用
 採用面からも好影響を及ぼす。D&I推進によって働き方の多様性が認められる会社になれば、世界中で優秀な人材を採用できる可能性が高まる。就業面からすれば、誰もが自分に合った働き方を選べる、能力を発揮できる可能性もある。活躍できる環境があれば長期雇用、退職抑止にもつながる。非常にメリットが大きい。

■デメリット
 一方、D&I推進において、デメリットも挙げられる。

 その数は少ないが挙げるとしたら、社員個々に背景、事情も異なるため、一律な対応ができなくなることだ。きめ細かい対応や制度づくりも必要になり、そのための時間もコストもかかる。ただし今後、社員の多様化が進めば、個別対応は当たり前になってくる。今のうちにD&Iに取り組み、個別で対応できる体制を整えることが得策だろう。

D&I推進の「最大の課題」

 D&Iの本質とは、すべての階層・すべての部署に多様性があることで、事業環境などの変化に対応できるようになり、イノベーションが起きる状態となることだ。この本質について、経営層や社員が相互に理解してもらうまでに時間を要した。

 たとえば女性活躍推進プロジェクトを進める際に、以前、経営層からは、女性活躍の支援策として、「育休はもっと長く取得できるほうがいい」「時短勤務社員にも100%給与を支払うのはどうか」など、ケアに偏った意見が多く挙がった。女性側の意識としては、ケアされればされるほど「弱者」として特別扱いとなり、通常のキャリアルートから外れてしまうと感じる場合もある。そのため、いかにして制限のある中でキャリアアップを諦めずに働き続けることができるのか、という視点が必要だ。

 政府においても「育休を3年間にするのはどうか」という議論があった。個人的な意見だが、報道を見て、歯がゆい気持ちを持っていた。女性活躍をうたっているが、実際は「ケア」ばかりが議論され、「キャリア」の視点が欠けている状況は、本質ではないと強く感じた。

 一方、先行する企業の多くは、経営トップがリーダーシップを強く発揮して、女性活躍や働き方改革にまい進している。トップダウンの良さは、社内全体への浸透スピードが速く、意思統一が図りやすいこと。

 とは言え、それではやはり当事者の置かれている立場や周囲の職場メンバーとの関係性など、それぞれの社員の声を反映しづらい面は否めない。そうならないために、トップダウンとボトムアップの両輪で進めることが大事である。

 先述した課題を乗り越えるために、1つの事例として、ベルシステム24でのD&I活動について体験談を紹介したい。 【次ページ】D&Iの「進め方」と全企業「共通の秘訣」を解説

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