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  • 2019/11/19

東京電力CIO 関知道氏語るDX、「2025年の崖」越える“データカンパニー化”とは

東京電力がデジタルトランスフォーメーション(DX)へ本格的に取り組み始めた。130年余りの歴史を持ち、日本の大企業の代表格である同社が、果たしてどのように「2025年の崖」を越え、DXを進めようとしているのか。同社CIOを務める関 知道 常務執行役の話をまとめる。

ジャーナリスト 松岡 功

ジャーナリスト 松岡 功

フリージャーナリストとして「ビジネス」「マネジメント」「IT」の3分野をテーマに、複数のメディアで多様な見方を提供する記事を執筆している。電波新聞社、日刊工業新聞社などで記者およびITビジネス系月刊誌の編集長を歴任後、フリーに。危機管理コンサルティング会社が行うメディアトレーニングのアドバイザーも務める。主な著書に『サン・マイクロシステムズの戦略』(日刊工業新聞社、共著)、『新企業集団・NECグループ』(日本実業出版社)、『NTTドコモ リアルタイム・マネジメントへの挑戦』(日刊工業新聞社、共著)など。1957年8月生まれ、大阪府出身。

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東京電力ホールディングスの関 知道 常務執行CIO兼CISO
(出典:「Dell Technologies Forum 2019-Tokyo」の基調講演で筆者撮影)

「2025年の崖」をDX推進でどう乗り越えるか

 「経済産業省のDXレポートが指摘する『2025年の崖』をどうやってのり越えるか。そのためにもデジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みを進めなければならない」──。

 東京電力ホールディングス(以下、東京電力)常務執行役で最高情報責任者(CIO)および最高情報セキュリティ責任者(CISO)を務める関知道氏は、デルおよびEMCジャパンが先頃都内ホテルで開いた「Dell Technologies Forum 2019-Tokyo」の基調講演でこう語った。

 関氏の講演のタイトルは「東京電力におけるDXへの挑戦」。日本の大企業の代表格である同社が、果たしてどのようにDXに取り組んでいるのか。同氏も事前に意見を求められたという経産省のDXレポートでは、日本企業のITリソースは、レガシーの運用・保守に8割が費やされており、戦略領域に向けては2割しか割り振られていないと指摘している。

 これに対し、同氏は「自社も含めて大企業でその傾向が顕著に表れている。われわれとしてはDXに取り組むことによって、2025年の崖を何としてものり越えないといけない」と力を込めた。

 関氏はDXの取り組みの話に入る前に、東京電力の現状について次のように紹介した。

 まず、電力システム改革の進展については図1を示しながら、2016年に電力の全面自由化、2017年のガス自由化、そして2020年には送配電の法的分離といったポイントを挙げた。そして、電力需要については、かつての日本の経済成長とともに右肩上がりだった推移が、東日本大震災以降、省エネの広がりとともに下降し続けている状況だ。

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図1:電力システム改革の変遷
(出典:「Dell Technologies Forum 2019-Tokyo」の基調講演で筆者撮影)

 電力の全面自由化によって、新規参入企業はおよそ600社を数え、この3年半で東京電力の顧客のうち27%が他社へ移っていったという。関氏はこうした現状について、「非常に厳しい状況が続いているとの強い認識がある」と語った。

東京電力のDXとは「“稼ぐ力”の創造」と定義

 では、東京電力はDXにどのように取り組んでいるのか。ここで興味深いのは、同社はその具体的な取り組みに入る前に、DXに取り組む意味や理由について、東京電力、電力産業、IT業界といった3つの視点から改めて見つめ直していることだ。

 まず、東京電力の視点では、グループのブランドメッセージを「挑戦するエナジー。」とし、「福島への“責任”」と「“競争”の中での企業価値の向上」を掲げている。関氏によると、これらの表現を集約した「責任と競争の両立」が東京電力グループのミッションだという。従って、DXへの取り組みもこのミッションの遂行がベースとなる。

 次に、電力産業の視点では、現在この分野では「5D」がメガトレンドになっているという。

 5Dとは、「Deregulation(規制緩和)」「De-Centralization(分散電源、太陽光、風力)」「De-Carbonization(脱炭素化)」「De-Population」(人口減少)」「Digitalization(デジタル化)」のことだ。関氏は「この中で我々事業者がコントロールできるのはDigitalizationだけだ。 従って、デジタル化をしっかりと進めることが競争力に直結すると考えている」と説明した。

 そして、IT業界の視点については、冒頭で紹介した関氏の発言を含めて、経産省のDXレポートにまつわる話として前述したように、東京電力としては「DXに取り組むことで2025年の崖を飛び越えないといけない」という立場である。

 こうした3つの視点でDXに取り組む意味や理由を見つめ直した上で、これもまた興味深いのは、東京電力としてのDXとは何か、を改めて定義付けていることだ。

 同社のDXとは「“稼ぐ力”の創造」であり、そのアクションとして「生産性倍増」と「新ビジネスの創造」を挙げている。この定義にはDXを分かりやすく捉えて社内を鼓舞する意図があると感じた。大企業だからこそ、こういうアプローチが必要なのだろう。(図2)

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図2:東京電力によるDXの定義
(出典:「Dell Technologies Forum 2019-Tokyo」の基調講演で筆者撮影)

 では、具体的にどのような取り組みなのか。関氏によると、電力業務は図3のようにITシステムとOT(制御)システムに支えられており、また業務改善に向けては「トヨタ式カイゼン」も採り入れている。さらにそこにDXを押し進めることによって、「カイゼン+テクノロジー」で生産性倍増および新ビジネスの創造につなげたい構えだ。

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図3:東京電力のDXへの取り組み
(出典:「Dell Technologies Forum 2019-Tokyo」の基調講演で筆者撮影)

 そのDXを推進する上で、同社では基本的な行動として3つのキーワードを重視しているという。オープンデータやオープンイノベーションなどの「オープン」、高速PoC(実証実験)に象徴される「スピード」、共創を意味する「コ・クリエーション」である。

 関氏によると、「DXに向けては3つとも積極的に取り組んでいる。たとえば、PoCはこれまで160件を超えており、実用化されている取り組みも着実に出てきている」とのことだ。

【次ページ】東京電力は「巨大なデータソースカンパニー」

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