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  • 2022/01/28 掲載

味の素や出光、パイオニアの最高デジタル責任者が語る「CDOの役割」とは?

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デジタルトランスフォーメーション(DX)推進は多くの企業で重要な経営課題となっているが、鍵を握るのが「最高デジタル責任者」の存在だ。創業70年以上の「老舗企業」でのCDOは、自らの役割をどのようにとらえ、プロジェクトを前進させているのか。味の素 取締役 代表執行役副社長 Chief Digital Officer(CDO)の福士博司氏、出光興産 デジタル・DTK推進部 執行役員 CDO・CIO情報システム管掌(情報システム部) デジタル・DTK推進部長の三枝幸夫氏、パイオニア モビリティサービスカンパニーCMOの石戸 亮氏、ビズリーチ 代表取締役社長の多田洋祐氏(モデレーター)がCDOの役割とDX推進組織を立ち上げ、運営する方法について議論した。
本記事は、ビズリーチ主催の2021年8月に開催されたオンラインイベント「創業70年以上のCDO最高デジタル責任者たちが語る、DX人材を活かす真の人事・組織戦略とは」の講演内容をまとめたものです。

「社長とCDOがフラット」でDXを推進した味の素

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味の素
取締役
代表執行役副社長
Chief Digital Officer(CDO)
福士博司氏

 DX推進の成功にはトップの強力なコミットが不可欠だといわれる。ビズリーチの多田 洋祐氏はまず味の素の福士 博司氏に「DX推進組織の組成にあたって、社長とCDOの役割分担」について問うた。

 福士氏は、通常の組織は社長をトップにしたピラミッド型の組織であるとし、味の素の場合「DXのような平常時の延長線上ではなく、新たな変革をめざす組織は、社長をボトムに置いた逆ピラミッド構造になる」と説明した。

 「組織として後には引けないという覚悟を社内外に発信していく。変革を支え続けるというのがやはり、社長の一番の役割だ」と福士氏は述べ、CDOとの役割については「変革の推進役としてのCDOが社内の抵抗を受けないよう、変革に対してフラットな立ち位置から支えてもらっている」と述べた。

「意思決定は社長が担いますが、社長は変革に対する意思を内外に発信する役割で前面に立ち、それに支えられて変革を推進するのがCDOの役割だと思います」(福士氏)

 さらに、社内だけでなく、社外には一般社団法人CDO Club Japanのような会員企業の情報連携を担う団体もある。「こうした外部の知見にも支えられてCDOが変革の旗振りを行い、一般の執行役以下が変革を自分ごと化し、それぞれの責任を果たしていく」のだと福士氏は話した。

 では、味の素のCDOは、具体的にどんなステップで変革に着手していったのか。福士氏は「まず取り組んだのがオペレーションの変革だった」と振り返る。

 それまでの味の素の施策は、どちらかというと「社員個人の働き方の自己変革に主眼が置かれていた」という。そこから視点を移し、会社としての変革に取り組んでいくため、「DX1.0」としてスタートラインに位置づけられたのが「オペレーション」、すなわち営業であれば営業、マーケティングはマーケティング、生産は生産、というようにそれぞれの業務プロセスで「世界の最先端レベルの効率、生産性をめざして変革に取り組んだ」ということだ。

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ビズリーチ
代表取締役社長
多田洋祐氏

「体感から共創」で変革に踏み出した出光興産のケース

 続いては出光興産のケースだ。「CDOが従業員に対し変革を自分ごとするための最初の施策」について問われた出光興産 三枝幸夫氏は「体感から共創というステップ」を挙げた。ここでいう「体感」とは、実際にデジタルを使って仕事のやり方を変える体験のことだ。

「たとえば保全グループであれば、何かの機械が故障しそうだというときに整備計画を作って工事を手配します。これまでは紙の図面を書庫から出してきて、調べて、前回の工事の履歴を確認してというのをデータ化することで、過去の不具合から工事履歴、前回の手配の記録などがすぐに確認されて、生産計画までワンストップでつながっていくわけです」(三枝氏)

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出光興産
デジタル・DTK推進部 執行役員 CDO・CIO情報システム管掌(情報システム部) デジタル・DTK推進部長
三枝幸夫氏

 こうしたデータを用いた業務の自動化、効率化のメリットは「なかなかデジタル担当の人間が現場にやってきて説明するだけでは理解してもらえず、実際に使ってもらうことが効果的だ」と三枝氏は話す。加えて、人は効果を実感すると、その噂が広がり、別の部署でも取り組みたいという意識が自発的に生まれる効果が期待されるという。こうした意識の広がりを促すため、「Webセミナーなどを実施し、実際に変革に取り組んだ人に本音を語ってもらう取り組みも併せて実施している」ところだ。

 日本企業は伝統的に現場が非常に優秀だと三枝氏は述べる。現場力の高さが日本が誇る製造業の品質の高さを支えてきた一方、「現場のことは自分たちが一番わかっているというプライドが、変革の足かせになるケースもある」というのだ。上述したような「現場に変革のメリットを体感してもらい、Webセミナーなどで実績を広めてもらう」取り組みは、そうした組織の特性を踏まえた変革の進め方といえるだろう。

 さらにコミュニケーションも変革の重要なポイントだと三枝氏は話す。「出光興産は創業以来、人を大切にする、人間尊重という理念を掲げて経営に取り組んできた。そのため、仕事を効率化して変革する目的は、人を減らすことにはないというのをメッセージとして伝えることで信頼して変革に取り組んでもらい、変革を自分の成長とリンクして考えてもらうことができている」ということだ。

【次ページ】CDOという“旗振り役”がいないことが理想的

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