- 2023/01/26 掲載
アングル:息吹き返す中国ゲーム産業、規制緩和で回復に期待
中国政府は2021年、繁栄していたゲーム産業の締め付けに乗り出し、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)や網易など業界大手の株式時価総額は半減した。世界最大の中国のゲーム市場が縮小したのは初めてだった。
しかし、中国ゲーム当局が今年最初のゲーム認可を行い、厳しい規制が終わろうとしているとの期待が強まったことで、テンセントと網易の株価は認可直後に急上昇した。
アナリストは、中国が今年認可するゲームは800─900タイトルに上ると予想している。21年8月から22年3月にかけては認可がゼロだった。
JPモルガンのアナリストチームは18日のノートで認可について「中国ゲーム産業を取り巻く規制環境が好転する兆しだ」と指摘。「豊富なゲームが提供されることで、中国オンラインゲーム市場のかき入れ時である春節(旧正月)に市場全体が拡大する見通しが強まった」とした。
21年からの規制強化は、青少年のゲーム中毒を減らすことと、政府が認めないコンテンツを排除することが目的だった。暴力的だったり、金持ちを賞賛したり、セレブへの崇拝を醸成するようなコンテンツは削除を命じられた。
世界のゲーム最大手・テンセントの株価は昨年24.7%下落したが、年明けから既に21%上昇している。香港に上場している網易の株価は昨年27.3%下げたが、今年に入って21.4%上昇した。
<規制の雪解け>
高予算のゲームタイトルが承認されつつあることも、投資家の期待感を高めている。規制緩和を見据え、ゲーム会社が投資拡大に意欲を示している証拠だからだ。
昨年12月以降に承認されたテンセントの「VALORANT」、網易の「逆水寒手遊」、miHoYo(米哈遊網絡科技)の「崩壊スターレイル」といったゲームは、21年8月以来で最大級のタイトルだ。
中国当局は12月に外国のゲーム44タイトルを認可した。外国ゲームの認可は1年半ぶりで、規制上の最後の壁が取り除かれたとの見方から、外国のゲーム開発企業は中国市場への再参入に期待を強めている。
シティのアナリストチームは、認可がさらに正常化されて行けば、今年の認可数は現在予想している800─900タイトルを超える可能性もあると予想する。
もっとも一部の規制は維持されている。最も顕著な事例として、中国は21年9月に18歳未満の青少年が1週間に3時間以上ゲームをすることを禁じたことが挙げられる。これにより、テンセントなどの企業は若者をターゲットにするのを諦めざるを得なくなった。
テンセントは11月、18歳未満の若者がゲームに費やす時間は一時に比べ92%減ったと発表している。
テンセントと網易は今年の春節についても、18歳未満の若者がゲームで遊ぶ時間を法定時間内に収めるルールを実行した。このところ他の大型連休でも実施してきた慣行だ。
ゲームの内容に対する厳しい制限も維持され「グランド・セフト・オート」など、人気が高いが暴力的なゲームは中国への参入が阻まれる。
ゲーム市場が元の姿に戻れるかどうかは、新型コロナウイルスの感染爆発に見舞われている中国経済の回復にもかかっている。
シティのアナリストチームは、昨年ゲームの売り上げが前代未聞の減少となったのは、マクロ経済環境が悪化して娯楽支出における価格敏感度が高まったことも一因だとの見方を示した。
だが、データによると、中国の昨年のゲーム総人口は6億6400万人と、21年比で0.33%の微減にとどまっている。
調査会社・オムディアのアナリスト、チェンユー・ツイ氏は「23年に中国のオンラインゲーム産業は成長を取り戻すだろうが、大々的な成長とは程遠い」とし、「ゆっくりとした漸進的な成長になる」と予想した。
(Josh Ye記者)
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