- 2023/02/18 掲載
共同声明検証を=金融正常化、市場との対話重要―翁日本総研理事長
産学の有識者で構成する「令和国民会議(令和臨調)」は、政府・日銀の共同声明について、現在の2%物価上昇目標を「長期的な目標」と位置付ける新たな声明を作成するよう提言した。臨調で運営幹事を務める日本総合研究所の翁百合理事長はインタビューで、声明の効果を検証する必要性や、金融政策を正常化する際の市場との対話の重要性を強調した。主なやりとりは次の通り。
―提言の狙いは。
政府の財政支出が増え、(財源の多くが)国債で調達されているが、金利をほぼゼロに固定してきたことの影響があることに問題意識を持つべきだ。この10年間、(経済政策は)金融政策に偏重していた。財政は「ワイズスペンディング(賢い支出)」となるように見直すべきだ。現在の共同声明の効果を検証して、やるべきことをやらなければ、金融政策の正常化も難しくなる。
―2%物価目標を長期目標にするよう求めた。
日銀のマイナス金利政策や長短金利操作による副作用などを考えると、少し長期的な目標とすることで、金融政策に機動性を持たせることが大事だ。生産性向上による賃金・物価の上昇を通じた持続的成長が実現していない今の局面では、政府・日銀の連携は必要だ。物価目標を掲げることは説明責任の上でも必要だ。
―昨年12月に日銀は政策を修正した。
日銀が国債の過半を購入しているため、市場の流動性が低下していることは大きな問題だ。黒田東彦日銀総裁は否定したが、市場は「利上げ」と受け止めた。国債を特定の利回りで日銀が無制限に購入する「指し値オペ」などが増え、かえって日銀の支配度が高まっている印象だ。
―日銀と市場との対話をどう考えるか。
いずれ金融正常化を考える必要があり、その際に金融システムの安定性が重要になる。海外を見ても、(中央銀行の)メッセージが政策に効果的になることも、そうでなくなることもある。市場とのコミュニケーションを強化することが大事だ。
【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答える日本総合研究所の翁百合理事長=2日、東京都品川区 〔写真説明〕インタビューに答える日本総合研究所の翁百合理事長=2日、東京都品川区
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