- 2023/02/27 掲載
FRB、インフレ抑制には景気後退必要 著名学者が指摘
報告書をまとめたのは、国際決済銀行(BIS)の元エコノミストでブランダイス大学国際ビジネススクール教授のスティーブン・チェケッティ氏、JPモルガン・チェースのチーフエコノミスト、マイケル・フェロリ氏、元FRB理事でコロンビア大学ビジネススクール教授のフレデリック・ミシュキン氏。
米国、ドイツ、カナダ、英国の中央銀行が「ディスインフレ」を誘導した事例16件を調べたところ、「中銀によって生み出された大規模なディスインフレが景気後退なしに起きた事例は皆無だった」という。
FRBは昨年12月に公表した最新の経済見通しで2025年末のインフレ率を2.1%、失業率を4.6%前後と予測しているが、報告書は見通しが甘いとし「25年までにインフレ率を目標の2%に引き下げるコストには、少なくとも穏やかな景気後退が伴う可能性が高い」と分析した。
1985─2019年の「グレート・モデレーション(大いなる安定期)」はインフレの粘着性が弱かったが、それ以前はインフレショックの抑制が難しかったとし、今後の景気・インフレ動向がどちらの時期に似た動きをするかが結果を大きく左右すると強調している。
報告書はFRBが過去数十年の穏やかなインフレに慣れ切って、21年にインフレの加速が始まった際に「予防的な」利上げを怠ったことが「大きな誤り」だったと主張。その後の急ピッチな利上げを評価しながらも、今後の道のりは厳しいとの見方を示した。
報告書が提示した望ましいモデルでは、政策金利が23年に5.6%前後でピークに達するが、25年末のインフレ率は3.7%にしか低下しない。FRBは昨年12月に政策金利のピークを5.1%と予想していた。
報告書は、シカゴ大学ブース・スクール・オブ・ビジネス主催の会議に24日に提出されたが、複数のFRB当局者が反論。
クリーブランド地区連銀のメスター総裁は、過去のディスインフレに伴った景気後退の原因が、過度な金融引き締めだった可能性はあるが、物価安定の実現に景気後退が必要なわけではないとし「インフレを抑制する際に政策行動の遅行効果に配慮する必要があるということだ」と述べた。
この日発表となった1月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年比5.4%上昇と、前月の5.3%から伸びが加速。FRBのインフレ対策が後手に回っているのではないかとの見方が浮上した。
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