• 2023/03/20 掲載

市場機能見極め必要だが、緩和粘り強く続けるべき=3月日銀会合主な意見

ロイター

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[東京 20日 ロイター] - 日銀が9―10日に開いた金融政策決定会合では、政策委員から「市場の機能度を予断なく見極めていく必要があるが、現在は大規模緩和を粘り強く続けていくべき局面だ」との意見が出ていたことが明らかになった。

この決定会合は、定例会合としては黒田東彦総裁の任期満了前最後の会合。昨年12月の長期金利の変動幅拡大後もイールドカーブのゆがみは解消せず、市場では、長期金利の変動幅の再拡大やイールドカーブ・コントロール(YCC)の撤廃などの思惑が出ていたが、日銀は全員一致で金融政策の現状維持を決定。10年金利の許容変動幅もプラスマイナス0.5%で据え置いた。

決定会合では「消費者物価上昇率が実際に低下し、それを受けて市場の金利見通しが落ち着いてくれば、イールドカーブのゆがみも是正されていく」との見方が出ていた。共通担保オペや国債補完供給の運用面の工夫などで、イールドカーブは「ひと頃に比べれば総じてスムーズになっている」との意見も聞かれた。

一方で、12月以降の一連の対策で一定の効果が出てきたものの「市場機能の根本的な改善には至っていない」として、今後の市場や経済・物価・賃金の動向を見ていく中で「必要な場合には、社債市場やスワップ市場を含めた市場機能の改善を図り、金融緩和の効果が実体経済に持続的・効果的に伝わるようにすることが必要だ」との意見もあった。

<共同声明、「改定の必要性ない」>

決定会合2日目の10日、参院本会議で次の日銀総裁に植田和男元日銀審議委員、副総裁に内田真一日銀理事と氷見野良三前金融庁長官をそれぞれ起用する人事案が可決され、新しい日銀正副総裁の顔ぶれが正式に決まった。

決定会合では2%物価目標や政府・日銀の共同声明について議論が展開されていた。ある委員は、2%目標へのコミットメントを堅持することが極めて重要であり、「目標についての議論を始めると、物価目標の実現の可能性が増しているにもかかわらず、金融政策運営に関する無用な憶測を招く恐れがある」と語った。共同声明については「改定の必要性はない」とした。

物価目標の実現に時間がかかっているからと言って、物価目標を引き下げて金融緩和を見直すと、経済成長とともに賃金も増加する構造への転換に必要な改革が先送りになるリスクがあるとの意見もあった。

このほか、ある委員は、足元の物価高を受けて緩和の見直しを求める声もあるが、「現在は物価目標の実現に向けて良い方向に環境が変化しつつある状況だ」と指摘。政策転換が遅れるリスクよりも「拙速な政策転換によって目標達成の機会を逃すリスクの方を重視すべきだ」と述べた。

物価に関しては、ある委員が企業の価格転嫁の動きは続いており、持ち家の帰属家賃を除くサービスの価格が前年比1%台後半まで上昇してきていると指摘。「この先、物価が想定以上に上振れるリスクに対して、注意の上にも注意を重ねていく必要がある」と強調した。

(和田崇彦)

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