- 2023/04/13 掲載
カナダ中銀、金利4.5%に据え置き 23年成長見通し上方修正
カナダ中銀は3月の会合で金利据え置きを決定し、主要中銀としては初めて利上げサイクルを停止。ロイターが実施した調査では、33人のエコノミスト全員が今回も金利が据え置かれると予想していた。
カナダのインフレ率は8.1%でピークを付けた後、2月に5.2%に低下。マックレム中銀総裁は、インフレ率を中銀が目標とする2%に確実に低下させるために、金利を長期間にわたり制約的な水準にとどめる必要がある可能性があると指摘。今回の会合で、金利が十分に引き上げられたかどうかを議論したと明らかにした。
その上で、中銀はインフレ低下に勇気づけられているとしながらも、まだやるべきことは残っているとし、「インフレ率を目標に戻すために、政策金利がより長く制約的である必要がある可能性を考慮した」と述べた。
また、市場に織り込まれている年内利下げとの見方は「われわれにとって最も可能性の高いシナリオとは思えない」と言及。年内のリセッション(景気後退)を排除できるかとの質問には「基本的な見通しはプラスだが弱い成長とインフレ低下だ」と応じた。
中銀は声明で「消費者物価指数(CPI)の上昇率は今年半ばに3%程度に急速に減速し、その後はより緩やかに低下して2024年末までに目標の2%に達すると予想する」と表明。サービス価格と賃金の上昇で、インフレ低下のスピードが鈍化するとの見方を示した。
インフレ目標が達成される時期について、中銀はこれまでは24年のいつかの時点とするにとどめ、具体的には示していなかった。
経済成長率については、23年の見通しを1.4%とし、1月時点の1.0%から上方修正。声明で「需要は依然として供給を上回っており、 労働市場は引き続き引き締まっている」とし、年内は弱い成長が続くと予想したものの、「2四半期程度(a couple of quarters)は若干のマイナス成長に陥る可能性がある」との文言を声明から削除した。
同時に、必要になれば利上げを実施する用意があると表明。このところの銀行問題により米国と欧州で信用状況が厳しくなっているとの認識を示しながらも、状況は改善しつつあるとした。
中銀は四半期ごとの金融政策報告で、24年の成長率見通しを1.3%とし、1月時点の1.8%から下方修正。25年は2.5%とした。
また、名目中立金利は2%から3%の範囲にあると推定。22年4月時点の見方を据え置いた。
スコシアバンクの資本市場経済担当バイスプレジデント、デレク・ホルト氏は「カナダ中銀は2%の物価目標達成に向けた進展が停滞していることを懸念しているのだろう。おそらくもっとやる必要があるというバイアスを持っている」と述べた。
BMOキャピタル・マーケッツのチーフエコノミスト、ダグ・ポーター氏は、「需要は依然として供給を上回っており、 労働市場は引き続き引き締まっている」との声明が将来の引き締めの可能性を示唆しているとしたものの、当面は金利が据え置かれるとの見方を維持した。
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