- 2023/04/18 掲載
中国経済指標:識者はこうみる
市場関係者の見方を聞いた。
●内需なおさえず、利下げすべき
<恒生銀行のエコノミスト、王丹氏>
内需はなおさえず、消費者物価の伸びが上向くとは思えない。所得拡大ペースは利払いよりも遅く、貯蓄は歴史的高水準に達している。いずれも人々が住宅購入や消費にあまり乗り気ではないことを示唆している。
こうした場合には金利は引き下げられるべきだ。
●消費は見た目ほど回復せず
<ナティクシス(香港)のアジア太平洋担当チーフエコノミスト、アリシア・ガルシア・エレーロ氏>
小売売上高は10%増と、驚くほど増加したように見えるが、ベース効果が大きく、実際にはそれほど驚くような内容ではない。
CPI(消費者物価指数)上昇率は依然として非常に低く、小売売上高の急増とつじつまが合っていない。特にサービスがそうだ。サービスCPIの上昇率は非常に低く、多くの価格が管理されているのだろう。
これは中国がインフレを伴わない景気回復を望んでいることが理由ではないか。可処分所得は長い間、伸び悩んでおり、中国は実質可処分所得がインフレで目減りする事態を避けたいのだろう。
●個人消費がけん引、第2四半期も好調の可能性
<UOBのエコノミスト、WOEI CHEN HO氏>
主要データは非常に強い内容で、基調的には個人消費が主なけん引役だったことが分かる。今年の成長率に改善余地があるということだ。第2・四半期は比較するベースが非常に低いため、再び予想から上振れて強い成長を示す可能性がある。
電子部門と海外需要が上向くとの期待も一部である。これも経済成長を支援する可能性がある。小売売上高はこれまでの改善が3月に加速した。経済再開による勢いが3月も続いたことを示しており、前向きな動きだ。今年は個人消費が中国経済の成長をけん引するだろう。
●消費に明るさ、今年の成長率は6%超へ
<保銀投資(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏>
順調に景気が回復している。明るい点は、家計の信頼感が改善する中で強まっている消費だ。3月の輸出の伸びが力強かったことも第1・四半期GDP(国内総生産)成長率を押し上げたようだ。
信用の伸びといった先行指標は景気モメンタムが第2・四半期も改善し続けることを示している。今年の成長率は6%を超えると引き続き見込んでいる。
●内需不足が足かせ、今年後半に急減速へ
<ANZの中国担当シニアストラテジスト、ケイ兆鵬氏>
GDP統計は市場予想を上回った。主なけん引役はサービス部門で、ペントアップ需要やベース効果の影響が大きかった。
成長の勢いという観点から言えば、鉱工業生産と固定資産投資の内容は良くない。また、内需不足が大きな障害として残るだろう。
第2・四半期GDPはベース効果で改善する可能性が高いが、今年下半期に経済成長率は大幅に減速する見通しだ。
下期にスタグフレーションが起きるパターンに入っている。景気回復が速ければ速いほど、消費者物価の上昇が加速する。
※中国経済指標に関する記事はをご覧ください。
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