- 2023/04/24 掲載
気候変動対策、中央銀行の「中核的な義務」=仏中銀総裁
[ロンドン 24日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのビルロワドガロー仏中銀総裁は、気候変動への対応は中央銀行の中核的な義務との考えを示した。最近、中銀が気候変動対策への関与を強めているとして一部で批判の声も聞かれるが、これに反論した形だ。ロンドンの会合での講演で述べた。
「気候変動関連リスクは、金融機関がさらされる長期的なリスクの一つであることは明らか。このようなリスクを監視することは、『できればいい』ものではなく、『やらなくてはならない』ものだ」とした。
中銀の役割拡大への反対論については、職務権限に関する法的・政治的な議論に中銀関係者はあまり時間を費やすべきではないと語った。
「中銀の世界的な主要責務は物価の安定であり、気候変動はすでに物価や活動の水準に影響を及ぼしている」とした上で「これはミッションクリープ(終わりの見えない作戦)でもなければ、中銀の責務の政治化でもない。われわれの中核的な業務であり、義務だ」などと述べた。
気候変動問題への対応で中銀がどこまで影響力を及ぼせるかを巡っては、見解の相違が鮮明になっており、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は今年1月、気候変動対策に関与すべきではないとの見解を示した。
一方、ビルロワドガロー氏は以前から、気候変動問題への積極的な対応を呼びかけ、気候変動が経済に及ぼす影響についてモデルの改善が必要だと訴えている。
同氏は「試験的なストレステスト」が最近行われたが、気候変動が加速しているため、期間5年の短期シナリオが必要だと発言。NGFS(気候変動リスク等に係る金融当局ネットワーク)が今年末に「概念的な枠組み」を公表することを明らかにした。
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