- 2023/04/29 掲載
トヨタ会長「あってはならない」と陳謝、ダイハツの海外向け車両不正
[東京 28日 ロイター] - トヨタ自動車の豊田章男会長は28日夜、子会社のダイハツ工業で起きた側面衝突試験の認証申請不正問題について会見し、「車にとって最も大切な安全に関わることで、あってはならない」と述べて陳謝した。日野自動車と豊田自動織機も排ガスデータでそれぞれ不正問題を起こしており、トヨタのグループ企業で不祥事が相次いでいる。
問題があったのはダイハツが開発した海外市場向け4車種。タイで2022年8月から生産を始めていたトヨタブランドの小型セダン「ヤリス・エイティブ」など計3車種8万8123台のほか、開発中の1車種が含まれる。対象車はすでに出荷を停止した。
トヨタの豊田会長は、「顧客の信頼を裏切る絶対にあってはならない行為」とし、トヨタブランドとして販売していた車もあったことから「トヨタも含めた問題だ」と述べた。会見に同席した佐藤恒治社長は、不正の背景に「企業風土や開発環境がある。認証と開発が同一の部署で行われていた」ことなどが一因との見方を示した。
独立した第三者委員会を設置し、不正の原因などを究明する。佐藤社長は、新車の投入計画に遅れが出る可能性があるとしつつ、不正が2度と起きないよう「調査を最優先する」とした。「ある意味、日程ありきになっていないかも含めて反省していく」と語った。
ダイハツとトヨタによると、販売済みの車は安全性を確認済みで、特別な対応やリコールなどは必要ないという。事故や怪我などの報告もないとしている。
ダイハツは今後、審査機関・認証当局の立ち合いのもと側面衝突性能が法規に適合していると確認できれば出荷を再開する。ヤリス・エイティブは23年3月末時点で累計7万6289台の販売実績がある。
ダイハツによると、4月に内部通報を受けて調査を実施したところ、側面衝突試験で認証する車両前席の「ドアトリム」と呼ばれるドア内張り部品の内部に、本来の仕様にはない切り込みの加工が施されていた。車両は事前に届け出た設計であることが必須で、試験の手順・方法に法規違反があった。
側面衝突試験では、衝突時に車両破損による搭乗者への危険性が抑えられているかがチェック項目の1つとなっている。ダイハツ、トヨタとも、切り込み加工をすることで破損しても尖った破片になる可能性が低くなると説明。加工を施した詳細な理由について調査を続ける。
トヨタに先立ち会見したダイハツの奥平総一郎社長は、「顧客の信頼を裏切ることになり痛恨の極み。大変重く受け止めている」と謝罪した。「認証試験を1回で通したいという思いから、ドアトリムの一部に壊れやすい部分を作って試験を受けたようだ」と述べた。不正の詳細な原因は調査中だが、「現場でかなりのプレッシャーがかかっていたと思う」と述べた。業績への影響は「現時点では分からない」とした。
トヨタ子会社の日野自も昨年、エンジンの認証手続きで不正行為が判明。豊田自動織機は今年3月、フォークリフト用エンジンの排ガス試験で不正があったことを公表している。
(白木真紀 編集:久保信博)
*詳細を追加しました。
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