- 2023/04/29 掲載
NY市場サマリー(28日)ドル上昇、利回り低下 米株続伸
<為替> 米連邦準備理事会(FRB)が来週の会合で利上げを決定する軌道から外れないとの見方が経済指標で裏付けられたことを受け、ドルが上昇した。
一方、日銀が金融政策の現状維持を全員一致で決めたこと受け円は全面安。対ユーロで150円台に乗せ、2008年9月以来の安値を更新したほか、対ドルで7週間ぶり安値を付けた。
ユーロ/円は一時150.25円まで上昇。終盤の取引では1.5%高の150円。週初からは1.8%上昇した。
ドル/円は1.7%高の136.235円。週間ベースでは1.6%上昇した。
主要6通貨に対するドル指数は0.2%高の101.65。
この日発表の米経済指標では、商務省発表の3月の個人消費支出(PCE)価格指数が前年同月比4.2%上昇と、伸びは前月の5.1%から鈍化。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数も前年比4.6%%上昇と、前月の4.7%から鈍化した。
SMBC日興証券(ニューヨーク)のチーフエコノミスト、ジョセフ・ラボルナ氏は「FRBが使命を果たしたと安心するには、これよりも大きな伸びの縮小が必要で、まだそこには達していない」と指摘。「来週の政策担当者の見通しを変えるものではなかった」と述べた。
PCE統計を受け、来週の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイントの利上げが決定される確率が90%であることが短期金融市場で織り込まれている。
米ミシガン大学が発表した4月の消費者信頼感指数(確報値)が63.5と、3カ月ぶり低水準だった前月の62.0から上昇したこともドルの押し上げ要因となった。
ユーロ/ドルは0.1%安の1.1017ドル。
キャピタル・エコノミクスのシニアマーケットエコノミスト、ジョナサン・ピーターセン氏は、相場は「徐々にドル有利に変化している」としている。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 国債利回りが低下した。米インフレ鈍化と引き続き底堅い個人消費を示す指標に反応した。
3月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比4.2%上昇と、伸びは前月の5.1%から鈍化し、2021年5月以降で最小の伸びとなった。個人消費支出は前月比変わらずだった。
終盤の取引で、2年債利回りは3.1ベーシスポイント(bp)低下し4.066%。10年債利回りは7.8bp低下の3.450%。30年債利回りは7.8bp低下の3.768%。
2・10年債利回り格差はマイナス61.4bp。
スパルタン・キャピタル・セキュリティーズのチーフマーケットエコノミスト、ピーター・カーディヨ氏は、指標がインフレ鈍化のトレンドを改めて示したとし、「なお高水準ではあるが、米連邦準備理事会(FRB)が考慮すべきこととなる」と述べた。
米債務上限を巡る攻防への懸念がくすぶる中、1カ月物財務省短期証券の利回りは2bp上昇し、4.25%となった。
ハリス・ファイナンシャル・グループのマネジングパートナー、ジェイミー・コックス氏は「市場参加者が差し迫る債務上限到達に向け態勢を整える中、通常とは異なる動きが多く見られる」と指摘。同時に「景気後退の始まりを見すえ、利回りがここから大幅に上昇するとは思えない」と述べた。
FRBは来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイント利上げを実施すると広く予想されている。また、市場が織り込む6月の0.25%ポイント利上げの確率は26%となっている。PCE統計後もこの水準は変わっていない。
BMOキャピタル・マーケッツの米国金利戦略責任者イアン・リンジェン氏は「FRBが追加利上げに踏み切る可能性はあるが、地方銀の混乱に端を発した信用収縮が不確実性をもたらし、FRBは5.25%を超えて利上げを続けることを思いとどまるだろう」と述べた。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 続伸。石油大手エクソンモービルや半導体インテルの好決算が、アマゾン・ドット・コムのクラウド事業減速を巡る懸念を相殺した。一方、朝方発表された米個人消費支出(PCE)を受け、米連邦準備理事会(FRB)が来週の会合で追加利上げを実施するという観測が強まった。
エクソンは最高値を更新した後、1.3%高で終了。第1・四半期決算は、利益が前年同期比2倍以上となり、第1四半期としては過去最高益を更新。市場予想も上回った。
S&Pエネルギーも1.5%高となった。
インテルは4%高。第2・四半期の損益見通しは市場予想を下回った。ただ、低迷する粗利益率が今年下期に改善するとの見方を示した
一方、アマゾンは4%安で、1日としては2月初旬以来の大幅な下げを記録した。第1・四半期決算は売上高と利益が市場予想を上回ったものの、景気の先行き不透明感が高まる中、クラウド事業収入の伸びが急減速していると明らかにした。
S&P一般消費財は0.04%安。
ファースト・リパブリック・バンクは一時約50%急落。関係筋によると、米連邦預金保険公社(FDIC)はファースト・リパブリックを近く管財人の管理下に置く準備を進めている。
月間では、S&P総合500種は1.5%高と、2カ月連続で上昇。今週発表されたアルファベットやマイクロソフト、メタ・プラットフォームズなどの好決算が上昇に寄与した。
ダウ工業株30種も月間で2.5%上昇。ナスダック総合も辛うじてプラスを維持した。
週間ではS&Pとダウは0.9%、ナスダックは1.3%それぞれ上昇した。
チェース・インベストメント・カウンセルのピーター・タズ社長は「悲観的な見方が多かったものの、今週発表された企業決算は総じて予想を上回り、さほど悪い決算シーズンではないことが浮き彫りとなった」と述べた。ただ、来週にアップル決算やFOMC、4月の米雇用統計の発表を控え、投資家はなお慎重になっている可能性があると指摘した。
株投資家の不安心理を示すボラティリティー指数は1.25ポイント安の15.78と、2021年11月以来の低水準を付けた。
ダウ輸送株20種は1.6%上昇したものの、週間では2.7%下落した。
朝方発表された3月の米PCE価格指数は前年同月比4.2%上昇と、伸びは前月の5.1%から鈍化し、2021年5月以降で最小の伸びとなった。同時に個人消費支出は前月比変わらずとなった。
パレオ・レオンのジョン・プラビーン氏はPCEによって、来週のFOMCを巡る観測が固まり、景気の急減速を巡る懸念が和らいだという見方を示した。
ファースト・リパブリックは急落したものの、S&P銀行株は1.1%高。FRBはこの日、経営破綻した米中堅銀シリコンバレー銀行(SVB)に対する当局の対応の検証結果を公表。報告書は、銀行の規模が拡大し複雑化する中でSVBの脆弱性の程度を十分に理解していなかったとし、SVBに対するFRBの判断は「必ずしも適切ではなかった」と結論付けた。
写真・動画共有アプリ「スナップチャット」を運営する米スナップは17%急落。第1・四半期(3月31日まで)決算は、売上高がアナリスト予想を下回った。広告プラットフォームの変更で広告需要が損なわれたことが響いた。
画像検索・共有サービスの米ピンタレストも15.7%安。第2・四半期売上高見通しが市場予想を下回った。
ニューヨーク証券取引所では値上がり銘柄数が値下がり銘柄数を3対1の比率で上回った。ナスダックでは1.91対1で値上がり銘柄数が多かった。
米取引所の合算出来高は約113億2000万株。直近20営業日の平均は104億6000万株。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> インフレの高止まりを示唆する米経済指標を受けた売りと、金融不安の再燃を眺めた買いが交錯し、ほぼ横ばいとなった。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比0.10ドル(0.01%)高の1オンス=1999.10ドル。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 米株高を背景とした買いや安値拾いの買いが入り、続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物は前日清算値(終値に相当)比2.02ドル(2.70%)高の1バレル=76.78ドルだった。7月物は2.03ドル高の76.61ドル。原油は月間で1.47%高となった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 136.28/136.31
始値 136.07
高値 136.56
安値 135.86
ユーロ/ドル NY終値 1.1020/1.1024
始値 1.0982
高値 1.1044
安値 1.0963
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 98*31.00 3.6821%
前営業日終値 97*21.00 3.7560%
10年債(指標銘柄) 17時05分 100*17.50 3.4333%
前営業日終値 99*24.50 3.5280%
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*00.25 3.4983%
前営業日終値 99*17.25 3.6020%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*23.13 4.0208%
前営業日終値 99*18.50 4.0970%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34098.16 +272.00 +0.80
前営業日終値 33826.16
ナスダック総合 12226.58 +84.35 +0.69
前営業日終値 12142.24
S&P総合500種 4169.48 +34.13 +0.83
前営業日終値 4135.35
COMEX金 6月限 1999.1 +0.1
前営業日終値 1999.0
COMEX銀 7月限 2522.6 +1.7
前営業日終値 2520.9
北海ブレント 6月限 79.54 +1.17
前営業日終値 78.37
米WTI先物 6月限 76.78 +2.02
前営業日終値 74.76
CRB商品指数 268.1556 +2.9377
前営業日終値 265.2179
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