- 2023/04/29 掲載
国交OB、ポスト要求で「威圧」=ガバナンスは「機能不全」―空港施設の独立検証委
国土交通省の元事務次官から人事介入を受けていた民間企業「空港施設」は28日、同省OBの山口勝弘前副社長の選任過程などを検証した独立検証委員会の報告書を公表した。山口氏が国交省の意向として副社長ポストを要求した点について、報告書は「他の取締役が威圧される形で人事案が承認された」と指摘、「ガバナンス(企業統治)が機能不全に陥っていた」と断じた。
また、山口氏が国交省の現役職員から、発令前の人事情報を複数回受け取っていたことも判明。検証委の八田進二委員長(青山学院大学名誉教授)は同日の記者会見で、「現職ではない山口氏がなぜこのような情報を得ているのか」と疑問を呈した。
山口氏は元東京航空局長で、空港施設取締役だった2021年、「航空局からみれば協力の証しになる」などと副社長ポストを要求し、同年6月に就任した。報告書は山口氏の発言について、OBによる現役職員への働き掛けを規制する国家公務員法の趣旨に反すると指摘した。
また、国交省元事務次官で東京メトロ会長の本田勝氏が昨年12月、空港施設社長らに山口氏の社長昇格を求め、拒否されたことに関しては、取締役会で共有されていなかった点を問題視した。
八田委員長は、多くの国交省OBを社長などに起用していた空港施設について「旧来のステークホルダー(利害関係者)に固執する人事が当然のように行われてきた」と批判。株主全体の利益を考えて行動するよう、役員の義務の明確化などを提言した。
【時事通信社】
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