• 2023/05/01 掲載

アングル:米財務省の資金調達計画、財源枯渇早まると警告も

ロイター

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[28日 ロイター] - 米財務省が今週の第3・四半期の資金調達計画の公表時に、連邦債務上限到達に伴う財政資金枯渇が想定より早まると警鐘を鳴らせば、市場にとって新たな波乱要因になりかねない。

財務省は5月1日に第3・四半期の借入所要額の見積もり、5月3日に国債発行の詳細と借り換えに関する幾つかの議論内容を明らかにする予定。今のところ議会がいつ債務上限引き上げを承認するかが見えない中で、財務省が基本シナリオとして想定しているのは7月下旬か8月に資金繰りが行き詰まるという展開だ。

ただ今回財務省は、議会にデフォルト(債務不履行)回避のために積極的に行動するよう促す意味も込めて、資金枯渇がもっと早くなる恐れがあるとの見方を示すかもしれない。

ジェフリーズの短期市場エコノミスト、トム・シモンズ氏は「手遅れになる前に債務上限を引き上げてほしいと議会にハッパをかけるために、(資金繰りの)見通しの観点で財務省がより慎重になる動機は存在する」と指摘した。

ナットウエスト・マーケッツの米金利ストラテジスト、ジャン・ネブルジ氏は、財務省が資金枯渇の想定時期をピンポイントで明らかにする公算は乏しいが、政府支出の動向をどのようにみているかのさまざまなヒントを提供してくれるとみている。

そうしたヒントには、第3・四半期に予想される現金保有残高の下方修正なども含まれるという。

一方で財務省は、債務上限が引き上げられた場合には短期国債(Tビル)の発行を増やす意向を示す可能性もある。資金の安全な振り向け先の少なさに難儀している投資家にとって、これはある程度安心できる要素になりそうだ。

財務省は、債務上限の接近に伴ってTビルの発行を減らしてきた。投資家の方は、デフォルトのリスクが最も高いとみなす7月と8月に満期を迎えるTビルを避け、より期間の短いTビルに殺到している。

<買い戻し>

財務省は、一部国債の買い戻しに乗り出すかどうかについて最新の方針も表明するかもしれない。既に国債発行諮問委員会(TBAC)が2月にこの問題で説明を行ったのに続き、ディーラーにも2回目の意見募集を行っている。

BMOキャピタル・マーケッツの金利ストラテジスト、ベン・ジェフリー氏は「財務省が頻繁に意見を求めている事実からすると、彼らは買い戻しを非常に真剣に検討していると思う」と述べた。

流動性の低い既発債を買い戻し、より人気の高い直近発行分を増発すれば市場の流動性を高めることができる。

ただナットウエストのネブルジ氏は、足元で流動性は改善されているので、買い戻しの妥当性は幾分後退しているとの見方を示した。

TBACによると、買い戻しは月ごとにばらつきがある利払いのタイミングを平準化するといった債務管理目的にも利用が可能だが、実際のプログラム設計は複雑で、そのためには一層の分析が不可欠になる。

ジェフリーズのシモンズ氏は、財務省の買い戻し対象となる国債を巡る不透明感によって、特定の国債取引が難しくなり、銀行や投資家がこれに絡む投機で利益を得ようとする恐れがあると指摘。「それは定期性と予測可能性という国債発行の考え方に真っ向から反する」と強調した。

(Karen Brettell記者)

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