- 2023/05/01 掲載
IPO市場、東南アジアの活況際立つ 政治リスクも
リフィニティブのデータによると、今年の世界のIPO調達額に東南アジアが占める比率は7%近くと、前年同期の4%から上昇。
日本を除くアジア太平洋地域で今年IPO市場が拡大しているのは東南アジアのみで、IPO調達額は4.5%増の22億3000万ドルに達している。
メイバンク・インベストメント・バンキング・グループの幹部は「今年は東南アジアの取引所でIPOが増える可能性がある。引き続き景気が底堅く、インフレ率も低下している」と指摘した。
インドネシアでは、エネルギー会社のプルタミナ・フールー・エナジーがIPOで14億ドルの調達を計画。鉱山会社のアンマン・ミネラル・インターナショナルも株式上場で10億ドルの調達を目指しており、ジャカルタ市場の今年のIPO調達額は世界トップクラスになる可能性がある。
インドネシアではこのほど、車載電池の主要材料であるニッケルを生産するハリタ・ニッケルとムルデカ・バッテリーの上場が成功を収め、IPO市場はすでに熱気に満ちている。
マレーシアでも、健康食品会社DXNホールディングスが28日にIPOを開始。最大7億0880万リンギ(1億5892万ドル)を調達する計画だ。
タイでは食品大手チャロン・ポカパン・フーズが今月、子会社のCPFグローバル・フード・ソリューションがIPOを申請したと発表。IFRによると、最大10億ドルを調達する可能性がある。
HSBCの幹部は「今後6─12カ月の予定を見ると、タイの活況は続くだろう。タイとインドネシアは域内で最も厚みのある活発な市場だ」と指摘。
OCBC銀行の幹部は、シンガポールも脚光を浴びるかもしれないと指摘。政治・経済が安定しているため、海外企業が株式発行に関心を寄せる可能性があると述べた。
もっとも、専門家は政治的なリスクも指摘する。タイでは5月に総選挙が予定されており、インドネシアも来年選挙を控えている。
デロイトの幹部は「インドネシアのIPO市場はしばらく活況を保つだろうが、政府の政策変更の可能性には敏感になっている。選挙を控えて投資家が様子見に転じる可能性がある」と指摘した。
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