- 2023/05/02 掲載
アジア経済の課題は=ADB総会、2日開幕―関係者に聞く
アジア開発銀行(ADB)は2~5日に韓国・仁川で開く年次総会で、コロナ禍からの回復が進むアジア経済の課題について議論する。大規模災害をもたらす気候変動にどう対処するかも焦点。前ADB総裁の中尾武彦みずほリサーチ&テクノロジーズ理事長と、ADBの木村知之戦略政策・パートナーシップ局長に展望を聞いた。
◇債務問題、中国の関与不可欠=中尾武彦前ADB総裁
―アジア経済の現状は。
比較的インフレ率が抑えられており、成長率も堅調だ。心配なのは、スリランカなど債務過剰の国。新興国に貸し付けの多い中国を債務再編の議論に巻き込むことが問題の解決に不可欠だ。
―アジア開発銀行(ADB)総会の焦点は。
ADBは気候変動問題の解決につなげるため、2019年から30年までに累計1000億ドルを融資する目標を掲げている。ロシアによるウクライナ侵攻で資源価格が跳ね上がったこともあり、再生可能エネルギーに誘導するのはADBの重要な役割だ。
―日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)の財務相・中央銀行総裁会議も開かれる。
金融危機時に域内で外貨を融通し合う「チェンマイ・イニシアチブ」は、災害や感染症流行などに応じて柔軟に使えるようにすることが課題の一つだ。
また、新興国の現地通貨を預かってドルを貸す現在の支援の仕組みには見直し論もある。世界銀行のように、各国から集めた資本金を基に債券を発行し、得られた資金を新興国に貸す手法も議論されるだろう。
【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答えるみずほリサーチ&テクノロジーズの中尾武彦理事長=4月26日、東京都千代田区
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