- 2023/05/04 掲載
米株投資家、FRB利上げ休止示唆でも波乱を警戒
パウエルFRB議長は連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の会見で、物価圧力の高さがFRBの懸念事項で必要なら追加利上げの用意があると述べる一方で、政策金利を十分に引き上げた可能性があるとの見方も示した。
理論上、これは歓迎すべきニュースだ。しかし一部投資家は、S&P総合500種指数が年初から6.5%上昇したことで株価が割高になっていると懸念する。FRBの利上げで年内に景気後退(リセッション)入りするのではないかと見る向きも多い。
エドワード・ジョーンズの投資ストラテジスト、アンジェロ・クルカファス氏は「FRBが据え置きの準備を始めたことは一つのステップだが、全て解決するわけでない」と述べた。
3日の米株市場は続落。S&P500指数は0.7%下落して終了した。
それでも、ここ数週間、米地銀の破綻や政府債務上限問題という不安要因が出たにもかかわらず米株は上昇してきた。S&P500指数は3月中旬から6%上昇。リフィニティブ・データストリームによると、S&P500指数の予想株価収益率(PER)は18.2倍となった。歴史的な平均は15.6倍で、この水準は割高と指摘する投資家もいる。
ジャナス・ヘンダーソン・インベスターズのリサーチ・ディレクター、マット・ペロン氏は、市場が上昇し、バリュエーションは目いっぱい高まっているとも言えるとし「市場はショックに対しやや脆弱になっていると思う」と述べた。
ペロン氏は、株式をアンダーウエートにし、混乱への耐性があるとされるヘルスケア銘柄の配分を増やしている。
多くの投資家は、利上げが成長を圧迫し始め、いずれ景気後退に至ると考える。しかしパウエル議長は会見で、景気後退を回避する可能性が高いとの見方を示し、雇用や小売売上など各種指標は、経済が比較的堅調なことを示すと指摘した。
数カ月前から、株式投資を控え債券にシフトしているノースウェスタン・ミューチュアル・ウェルス・マネジメントのブレント・シュッテ最高投資責任者(CIO)は「たとえ今、利上げを停止してもリセッションは免れない」と述べた。
3日は地銀を巡り新たな懸念が台頭。カリフォルニア州を地盤とする銀行持ち株会社パックウエスト・バンコープが60%近く急落し、ウエスタン・アライアンス・バンクなどの地銀株も売られた。
それでも、多くの投資家の心配をよそに株式市場は今年回復しており、その傾向が続く可能性はある。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの米州資産配分責任者ジェイソン・ドラホ氏は、株式のリスクは「下向き」と考えている。ただ、投資家は景気後退に備えてすでに株の持ち高を減らしており、株式市場に戻る可能性のある待機資金が蓄積されていると指摘した。
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