- 2023/05/05 掲載
東証スタンダードに活路=上場企業、成長に集中
2022年4月の東証再編で最上位のプライム市場を選んだものの、上場維持基準を満たせず、基準が比較的緩いスタンダード市場への移行を申請する企業が増えている。上場廃止になれば「株主に迷惑を掛ける」(ダイセキ環境ソリューション)こともあるが、企業に適した市場に移ることで、自社株買いなどの株価対策よりも成長事業に経営資源を集中したいとの思惑が各社にはあるようだ。
東証は今年1月、新市場の上場維持基準適用を猶予する「経過措置」を、25年3月から順次打ち切ると発表。併せてプライムの旧1部上場企業については、今年4月から9月は無審査でスタンダードへの移行を申請できるとした。
これを受け、モバイルゲームを運営するマイネットは3月中旬、いち早く移行を表明した。プライム選択の時点では成長により株価が上昇し、流通株の時価総額が基準の100億円を突破できると考えていたが、業績悪化で株価はむしろ下落。岩城農社長は「身の丈に合っていないプライムを選択するより、スタンダードですべきことに集中する」と説明する。
IT企業のサーバーワークスもスタンダードを選択。流通株の時価総額は比較的大きいが、「(上場維持基準を)ぎりぎりでクリアしても、毎年気にしながら経営をしなければいけない」(経営管理部)と考え、移行を決断した。
スタンダードはプライムに比べ、時価総額や売買代金などの規模は小さい。だが、有価証券報告書などの英文開示を強く求められてはおらず、上場コストは安いとされる。再編時にプライムの基準を満たしていたものの、スタンダードを選択した大正製薬ホールディングスは「十分に優秀な人材を確保できており、事業にも影響はない」(広報)と話す。
ニッセイ基礎研究所の森下千鶴研究員は「プライム上場維持にかかる投資を負担と捉え、スタンダードで自分たちの戦略に合った行動を取る企業もある」と指摘。今後も基準との乖離(かいり)が大きい企業がスタンダードを選択する流れが続くとみている。
【時事通信社】
PR
PR
PR