- 2023/05/05 掲載
NY市場サマリー(4日)ドル対ユーロで上昇、株続落
<為替> ドルが対ユーロで上昇した。欧州中央銀行(ECB)が利上げ幅を縮小したことを受けた。
欧州中央銀行(ECB)は4日の理事会で、予想通り0.25%ポイントの利上げを決定した。利上げ幅はこれまでの0.5%ポイントから縮小。ただ、ラガルド総裁は理事会後の会見で、インフレ抑制に向け利上げを「停止しない」と強調した。
前日には米連邦準備理事会(FRB)がフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ5.00─5.25%とした一方、利上げ停止の可能性を示唆した。
スコシアバンク(トロント)のチーフFXストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は「金融政策のダイナミクスは、引き締めサイクルという点で、現時点では多かれ少なかれ完全に織り込み済みだ。今後はFRBがいつ緩和し始めるのか、どの程度緩和するのか、他の中銀の動きとどのように関与するのか、などに焦点が当てられる」と述べた。
ドル指数は0.15%高の101.36。ユーロ/ドルは0.41%安の1.1018ドルとなった。ドル/円も0.34%下げ134.17円。
CMEグループのフェドウオッチによると、フェデラル・ファンド(FF)金利先物市場ではFRBがが7月までに利下げに着手する確率を約62%としている。
モルガン・スタンレーのアナリストは「FRBの利上げは終了したと考えているが、米ドルは上昇するだろう」と指摘。「米債利回りの低下はリスクオフの取引環境の到来を告げている可能性があり、ドル高を暗示している」とした。
23年第1・四半期の生産単位当たりの報酬を示す単位労働コストは前期比6.3%上昇。22年第4・四半期の3.3%上昇から加速したこともドルを一時的に押し上げた。
ポンド/ドルは0.10%高の1.2580ドル。序盤には一時1.2593ドルと2022年6月以来の高値を付けた。
ノルウェークローネは0.87%安の10.76クローネ。ルウェー中央銀行は4日、主要政策金利を予想通り25ベーシスポイント(bp)引き上げ3.25%とした。6月に追加利上げする公算が大きく、通貨安が続けば一段の引き締めもあり得ると表明した。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> パックウエスト・バンコープなど複数の地銀株が急落したことを受けて銀行危機深刻化の懸念が高まり、長期債利回りが低下した。
10年債利回りは3.373%、2年債の利回りは3.763%。一時4月6日以来の低水準を付ける場面があった。30年債利回りは3.731%だった。
この日は終日、長期債の利回りは低下した。米連邦準備理事会(FRB)が年内に利下げを行うとの期待が高まった。
市場では7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ確率が60%以上織り込まれている。3日には9月の利下げを織り込んでいた。
バンガード・フィクストインカムグループでの国債担当幹部ジョン・マジイヤー氏は「現在の市場を動かしているのは、経済指標の内容よりも金融安定性への懸念だ」と指摘した。
朝方に発表された経済指標を受けて、利回りは当初急上昇した。
米労働省が4日発表した2023年第1・四半期の非農業部門の労働生産性(速報値)は年率換算で前期比2.7%低下した。一方、生産単位当たりの報酬を示す単位労働コストは前期比6.3%上昇した。
一方、投資家は、米の連邦債務上限問題を懸念し、償還期間の短い債券の投げ売りを続けている。
3カ月物国債の利回りは、夜間に5.55%に上昇し、2001年1月以来の高水準を付けた。終盤は5.24%。
3カ月物国債と3カ月のOIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)のスプレッドは47ベーシスポイント(bp)まで拡大。12年2月中旬に付けた76bp以来最も大きくなった。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 続落して取引を終えた。米カリフォルニア州を地盤とする銀行持ち株会社パックウエスト・バンコープが戦略的選択肢を模索していると明らかにしたことで、金融機関の健全性への懸念が深まった。
パックウエストは51%安。複数のパートナー・投資家候補とあらゆる選択肢の検討を続けており、協議は進行中だとした。
このほかの地域金融機関の株価も売り込まれた。
米地銀ウエスタン・アライアンス・バンコープは一時60%超急落し、何度も取引停止となった。終値は39%安だった。ウエスタン・アライアンスは身売りを検討しているとの報道を否定した。
コメリカ、ザイオンズ・バンコープはともに約12%下落した。KBW地域銀行指数は3.5%下落。一時は約7%下落する場面があった。
カナダのトロント・ドミニオン銀行(TD)は4日、米地銀ファースト・ホライズン銀行の買収を中止すると発表。ファースト・ホライズンは33%下落した。
TIFFインベストメント・マネジメントのマネジングディレクター、ゼー・シェン氏は「地銀問題や信用の引き締めが市場の重しになっている。信用サイクルや銀行の融資基準について、投資家が現在の状況を把握し、いつ不況に陥る可能性があるのかを再確認しようとしているためだ」と述べた。
投資家の不安心理の度合いを示すボラティリティー・インデックス(VIX)は21ポイントまで上昇し、3月下旬以来の高水準となった。
S&P500の主要11セクターでは、9指数が下落した。金融は1.29%下落し、通信サービスは1.26%下落し、全体の下げをけん引した。
米取引所の合算出来高は120億株。直近20営業日の平均は105億株。
米大手銀行では、JPモルガンが1.4%安、ウェルズ・ファーゴは4.25%安などとなった。
アップルは1%下落した。
米半導体大手クアルコムは5.5%下落。第3・四半期(4─6月)の業績についてさえない見通しを発表した。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 景気先行き不安が強まる中で資金の逃避先として選好され、3日続伸した。6月物の清算 値(終値に相当)は、前日比18.70ドル(0.92%)高の1オンス=2055.7 0ドル。中心限月の清算値としては、2020年8月上旬以来2年9カ月ぶりの高水準 となった。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> エネルギー需要先行きに対する不透明感が強まる中、売り買いが交錯し、ほぼ横ばいとなった。米国産標準油種WTIの中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比0.04ドル(0.06%)安の1バレル=68.56ドルと、3月下旬以来約1カ月半ぶりの安値水準だった。7月物は0.04ドル安の68.51ドル。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
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