- 2023/05/17 掲載
リテール強化へ変革加速=「りそなショック」から20年
資本不足に陥ったりそな銀行に、国が多額の公的資金を注入して事実上国有化することを決めた「りそなショック」から17日で20年となる。りそなホールディングス(HD)はピーク時には3兆円を超えた公的資金を2015年に完済。23年度からの新中期経営計画には「『再生』から『新たな挑戦』へ」を掲げ、個人や中小企業を対象とするリテール業務のさらなる強化に向け変革を加速しようとしている。
03年3月期決算で、繰り延べ税金資産の取り崩しや保有株式の含み損処理で自己資本比率が著しく低下したりそな銀は、公的資金の注入を受け国の管理下に置かれた。
当時企画部で金融庁との折衝などに当たっていた南昌宏りそなHD社長は「中長期的なリスクコントロールができなかった。時代の変化に適応できなかったことの帰結」と振り返る。当時とは金融環境や産業構造も異なるが、「リスクマネジメントとガバナンス(企業統治)にいつも磨きをかけないといけない」と指摘。調達資金と運用資金のリスク管理には細心の注意を引き続き払う。
金融不安や危機は国内外で何度も繰り返されている。米欧での金融不安が広がる中、南氏は「予測と準備を常に怠らないことが必要だ」と構えている。今年3月の米シリコンバレー銀行の破綻では、SNSが情報波及経路となり、預金の取り付け騒ぎに発展した。南氏は「(注意深く)見なければいけない領域が広がっている」と警戒する。
りそなグループでは当時の教訓を現役社員に伝えるため、社史を編さん中だ。当時を知る社員は約3割まで減っており、南氏は「正しく伝え続けないといけないものを言語化し、次世代につなぐことが重要だ」と話す。
【時事通信社】 〔写真説明〕りそな銀行への公的資金注入から20年の節目について語る南昌宏社長=9日午後、東京都江東区 〔写真説明〕公的資金注入の申請と経営陣の退陣を決め、記者会見するりそなホールディングス(HD)の勝田泰久社長(中央)=2003年5月、東京都中央区の日銀記者クラブ
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