- 2023/05/26 掲載
カナダ原料炭企業への出資案件、引き続き協議中=日鉄副社長
日鉄は今年2月、カナダの鉱山会社テックリソーシズから原料炭事業を切り出して誕生する予定だった新会社に約10%出資すると発表した。しかし、4月にスイス資源大手グレンコアがテックに買収を提案。テックは買収提案には反対を表明したが、会社を2分割する計画に株主から十分な支持を得られず、株主総会の投票直前に撤回し、新たな分割案を検討すると発表した。
森副社長はテックの原料炭事業に出資する方向で協議を継続しているとしたうえで、「彼らが具体的に何を言ってくるかを待っている。出てきてさらに議論が進むということになると思う」と説明。「少し時間が後ろに倒れるということだろう」と語った。
日鉄の投資金額については、グレンコアが買収提案を出した影響で、当初想定を上回る可能性があるとの見方を示した。
日鉄はテックが高品位の原料炭を生産していることを評価し、原料の安定調達や脱炭素化の取り組みへの一環として新会社への出資を決めた。最大で17.5%まで株式を買い増す計画だった。森副社長は、「15%を超えないと持分法適用会社にならない。そこは必ずクリアするようにやっていこうとは思っている」と述べた。
森副社長は世界最大の鋼材市場である中国の需要低迷にも言及し、「相当長引くと思う。少なくとも年内、年度内に回復できるかどうかの年単位の話になる可能性がある」と述べた。期待されていた中国政府による景気刺激策の不在や、不動産市場の低迷などが要因で、3カ月前に比べて需要見通しは悪化したと語った。
二酸化炭素(CO2)の排出量削減策として、5月に検討開始を発表した国内2製鉄所での高炉プロセスから電炉プロセスへの転換については、実施を決めた場合は「2030年までに実現する」と語った。一方、巨額の投資が伴うとして、日本政府に支援策の検討を要請していると述べた。
(佐古田麻優、大林優香 編集:久保信博)
*インタビューは24日に行いました。
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