- 2023/05/26 掲載
米CDSのデフォルト警告、投機筋の思惑も
米1年物クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のスプレッドは5月に入って一時、過去最大の175ベーシスポイント(bp)に拡大した。
S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのデータによると、25日のスプレッドは160bpと前日取引終了時からわずかに低下したものの、投資家の懸念を示している。
市場関係者らによると、CDSの支払いに関わる低コストでハイリターンな仕組みがヘッジファンドや投機家をこの取引に引き付けている。
コーペイのチーフ市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏によると、CDSは現在、本来の保険契約というよりも金利プットオプションのような取引になっており、「デフォルトのインプライド(暗黙)リスクはスプレッドだけから推測されるよりもはるかに低いままだ」という。
ロイターの計算によると、CDSスプレッドと原債券の価値を用いて測った米国債デフォルトのインプライド確率は、2011年に同様の問題があった際の6─7%台と比べると、まだ3─4%台と非常に低い。
不履行イベント決定後のCDSの潜在的な支払いでは、決済に最も安価な債券の価格が通常使用されるが、これらの債券は利回りが過去最低付近だった20年半ばの低クーポン発行により大幅に低い価格となっている。
オルタナティブ資産運用会社サマラ・アルファ・マネジメントのウィルフレッド・デイ最高経営責任者(CEO)は、ソブリンデフォルトの場合、現在のレートでCDSを購入する人は高額支払いを期待するだろうと述べた。ソブリンデフォルトに至らなければ、CDSを買うために支払った約1─2%のプレミアム(保険料)を失うことになる。
同CEOは「得られる金額が5倍なら誰もやらないだろうが、25倍となれば人々はそれに賭けたくなる」と話す。
このため「CDSは買い手にとって異常に魅力的な商品」(前出のシャモッタ氏)という。
関係筋によると、マクロ経済のシグナルに基づいてソブリン債を取引することで知られるヘッジファンドが、CDSプロテクションの最大の買い手になっている。
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