- 2023/06/14 掲載
特定技能拡大、産業界は歓迎=人手不足、早期解消に課題も
政府が熟練技能を持つ外国人労働者の在留資格「特定技能2号」の対象拡大を決めたことに対し、産業界では歓迎ムードが広がっている。しかし「日本語習得などの条件があり、すぐに日本で働けるわけではない」(航空業界)といった声もあり、人手不足の早期解消につながるかは不透明だ。
特定技能制度に基づく在留期間は、一般労働者向け「1号」の場合、5年が上限となっている。一方、熟練技能を持つことを試験で確認する「2号」では、資格の更新によって事実上の永住が可能で、家族の帯同も認められる。政府は9日、2号の対象に「自動車整備業」「航空業」「宿泊業」「農業」「外食業」など9分野を追加する方針を決定。経団連の十倉雅和会長は「少子化で日本の生産人口が減っていく中、特定技能を持つ外国人労働者は非常に重要になる」と評価する。
「1号」の外国人を約200人抱える商用車大手、三菱ふそうトラック・バス(川崎市)は「5年の期限により、長期的な人材育成に難しさがあった」と指摘。家族と暮らせなかった問題も解消できる今回の措置を歓迎している。
追加された別の業種でも「高齢化、人手不足の中で前向きな決定」(全国農業協同組合中央会)、「優秀な外国人材の確保や技術力の向上につながる」(すかいらーくホールディングス)との受け止めが多い。宿泊業界は「試験の実施時期などはまだ公表できない」(業界団体関係者)と対応を急いでいる。
ただ、外国人材の定着につながるかは見通せない。円安の状況では「日本円で給料をもらっても目減りしてしまう」(航空業界)ため、日本で働くことが敬遠される可能性もある。人手不足が慢性的な自動車整備業界からは「日本の若い人材に関心を持ってほしい」(関係者)との本音も漏れている。
【時事通信社】
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