- 2023/06/15 掲載
焦点:FRB再利上げ示唆、市場の動揺に警戒感 株高続くか難問に直面
FRBは13─14日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げをいったん停止。一方、予想を上回る景気の堅調さと緩慢なインフレ鈍化ペースを踏まえ、年末までに合計0.50%ポイントの利上げを行うシナリオを示した。発表後、トレーダーのターミナルレート(利上げの最終到達点)予想は軒並み切り上がった。
多くの投資家は、50ベーシスポイント(bp)の利上げだけで、米国株の上昇が止まることはないと考えている。しかし、政策引き締めによって金融システムに圧力がかかり、複数の銀行破綻や金融市場の動揺につながった危機が再燃する可能性への警戒感も広がっている。
米経済は銀行システムを除けばおおむね耐性があるが、投資家は、緩和マネーが引き揚げられた際に脆弱になりかねない分野に警戒心を抱いている。具体的には商業用不動産で、債務不履行が急増すれば銀行や経済全体、その他の信用市場セクターにも影響を及ぼす可能性がある。
投資顧問会社ウィルシャーのジョシュ・エマニュエル最高投資責任者(CIO)は「信用収縮のリスクが高まっているのではと懸念し始めている」と話す。一方、株式をアンダーウエートにすることは「危険」とも指摘、小型株などの市場のストレスが突然高まった場合に大きな打撃を受ける可能性がある資産には手を出さないようにしていると述べた。
これまでの上昇局面で株式のポジションを増やしてきたがトレンドが変わり始めたらスタンスを転換する予定と話すのはシエラ・インベストメント・マネジメントのジェームズ・サン・トーバンCIO。利上げ長期化や逆イールドは銀行の融資による収益性低下につながるため、銀行システムへのストレスが高まる兆候を注視していると語った。
ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック最高経営責任者(CEO)も同様の見方を示しており、「もしFRBが予告通りのことをすれば、何かを壊すことになるだろう」とCNBCで指摘。株式の保有比率を下げる一方、優良債券への配分を増やすことを推奨した。
ペン・ミューチュアル・アセット・マネジメントのマーク・ヘッペンストールCIOは、株高は信用状況を緩め消費者物価を押し上げる可能性があり、インフレと戦うFRBには望ましくない結果になると話す。「株高が続けば引き締めがさらに積極化するもしれない」とした。
もちろん、金利の上昇によって景気が悪化するとは限らず、そのような事態が起こったとしても株価に打撃が及ぶかどうかは分からない。
クリアブリッジ・インベストメンツの投資戦略アナリスト、ジョシュ・ジャムナー氏は、投資家は近く、金融政策やインフレといったマクロ的な懸念よりも、企業業績などのファンダメンタルズに注目するようになると指摘。「1年で500bp利上げしたのだから、あと25bpや50bp利上げしたとしても大きな影響はない」とした。
関連コンテンツ
関連コンテンツ
PR
PR
PR