- 2023/06/15 掲載
中国5月指標、生産・消費ともに予想下回る伸び 若年失業率最高に
[北京 15日 ロイター] - 中国国家統計局が15日発表した5月の生産・消費指標は伸びが予想を下回った。国内外の需要が鈍化する中、景気支援に向けた政策措置を求める圧力が高まっている。
鉱工業生産は前年比3.5%増加。伸び率は市場予想をやや下回り、2月以来の低水準となった。
ロイターがまとめた市場予想は3.6%増、4月は5.6%増だった。
小売売上高は前年比12.7%増で、4月の18.4%増から伸びが鈍化。市場予想の13.6%を下回った。
上海保銀投資管理(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏は「全ての指標が一貫して経済の勢いが弱まっていることを示している」と指摘した。
製造部門調査や貿易、融資の伸びや住宅販売など、さまざまなデータが中国経済低迷の兆候を示している。昨年は多くの都市が厳格な新型コロナウイルス規制下にあったため、アナリストは元々、前年の低い水準からの急回復を期待していたが予想外に軟調な指標が相次いでいる。
当局はデフレリスクや地方政府債務の膨張、過去最高の若年失業率、海外需要の低迷などの課題に直面している。弱い経済指標は追加の景気刺激策の必要性を高める。
ジョーンズ・ラング・ラサールのチーフエコノミスト、ブルース・パン氏は、不十分な内需と低迷する外需は今後数カ月で景気の勢いを止め、中国の前月比成長をより緩やかなU字型回復にとどめる可能性があると指摘。大規模な政策緩和による刺激策の導入が最初の一歩となるだろうが、減速している景気回復のてこ入れには2─3年かかる可能性があると述べた。
統計局の付凌暉報道官は記者会見で、昨年の低いベース効果のため、第2・四半期の成長率は上向くと予想されると説明。ただ同時に、複雑かつ厳しい国際環境や低迷する世界経済の回復、不十分な内需などの課題に直面していると警告した。
1─5月の固定資産投資は前年比4.0%増加。予想は4.4%増、1─4月は4.7%増だった。
1─5月の不動産投資は前年同期比7.2%減少し、1─4月の6.2%減から落ち込みが加速した。
労働市場は依然として弱いままだ。5月の全国調査ベース失業率は5.2%にとどまった。若年層の失業率は20.8%に達し、過去最高を更新した。
5月の粗鋼生産量は前年比、前月比ともに減少。1日当たりの石炭生産量も4月から減少した。
中国人民銀行(中央銀行)は同日、1年物中期貸出制度(MLF)金利を10カ月ぶりに引き下げた。
キャピタル・エコノミクスの中国経済担当責任者、ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は人民銀の緩和策そのものの効果は限定的だが「中国の景気回復の健全性に対して当局が懸念を強めている」ことが明白になっており、「より広範な政策緩和」で対応する可能性が高いと予想した。
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