- 2023/06/26 掲載
再送東京応化など半導体素材株が連れ高、JSR買収報道で思惑波及
[東京 26日 ロイター] - 半導体素材フォトレジスト(感光材)で世界シェア首位のJSRを官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)が1兆円規模で買収するとの報道を受けて、同社株だけでなく東京応化工業が急騰するなど、半導体素材関連銘柄に思惑が広がっている。JSRはストップ高水準での買い気配となっており、東京応化の株価は一時16.1%高に上昇した。
市場では「国策として日本の半導体を強くする動きと受け止められている。国策会社化か業界内での再編か、いずれにせよ他の中小の半導体素材メーカーにも資金が流入するのではないかとの思惑から物色されている」(いちよしアセットマネジメントの秋野充成取締役)との声が聞かれる。大手では、信越化学工業が一時3%高となった。
JSRは24日、JICによる1兆円規模の買収報道について「検討していることは事実」とコメントを発表し、同社株は株式公開買い付け(TOB)への思惑が先行した。今後開示すべき事項が生じた場合には速やかに公表する。日本経済新聞は24日、JICがJSRを約1兆円で買収すると報じた。
JSRの株式時価総額1兆円に相当する株価は4800円程度と試算され、23日終値の3234円を50%上回る水準だとして、TOB価格がこの水準に決まるなら「妥当なプレミアム水準」(国内証券アナリスト)との見方がある。有利子負債を差し引いた企業価値を基準にすれば4400円程度との試算もある。
専門家からは「レジスト自体、市場が伸びていくため、政府が関与してきちんと投資できれば大きなメリットがある」(英調査会社オムディアの杉山和弘コンサルティングディレクター)との見方が聞かれる。
日経の報道によると、JICはJSR買収のための新会社へ5000億円程度を出資し、みずほ銀行が4000億円強を融資する。優先株や劣後ローンの計1000億円を複数の銀行が引き受けるという。JICは早ければ年内にJSRへのTOBを実施。JSRは2024年中に上場廃止となる見込みとしている。
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