- 2023/06/26 掲載
生成AI、就活利用に懸念=民間企業「人柄見えず」―情報収集は容認・時事通信調査
文章や画像を自動で作り出す「生成AI(人工知能)」を、学生らが就職活動で利用することに企業が懸念を強めている様子が、時事通信の調査で浮き彫りになった。エントリーシート(ES)を生成AIで作成することで「人物像を的確に把握できなくなる」(大手運輸)と憂慮。利用を禁止するケースや、選考手法の見直しが必要との声もあった。
一方、情報収集面での活用は多くの企業が容認。急速に普及する生成AIを巡り、採用活動でどう対応するか、手探りを続けているようだ。
調査は今月、国内主要企業約60社を対象に、就職活動と生成AI利用に関するアンケートを送付して実施。14日までに計38社から回答を得た。
このうち、約4分の1に当たる9社が「総じて否定的」と回答。JR東日本は「(ESには)当社に対する思いを自身の言葉で書いてほしい」、ローソンは「学生本来の適性や資質を見極めたい」と説明。「学生の考えが反映されない回答案で合否を判断することは、企業にも学生にもメリットがない」(大手メーカー)との意見もあった。
これに対し、「総じて肯定的」とした企業は2社で、NTTドコモは「新しい技術を活用する学生の姿勢をポジティブに捉えたい」と回答。日本航空は、生成AI利用は今後避けられないとし、「(選考手法を)AIでは対応できない内容に見直していくべきだ」と指摘した。
他の27社は賛否を明示しなかったが、「学生の意思、個性が薄くなる」(NTT西日本)、「熱意や将来像までAIに創作させることは看過できない」(東京電力ホールディングス)といった懸念が相次いだ。
ただ、ITスキルの重要性が高まる中、「業界研究で積極的に活用していい」(ENEOS)など、多くの企業は情報収集での活用を容認。「面接を行うので、生成AIの有無は大きく影響しない」(富士通)との声も聞かれた。
2025年春卒採用に向けては、機械メーカーや運輸、金融機関の計4社がES作成などで生成AIの利用を禁止。一定の制限を検討したり、使わないよう注意喚起したりする企業もあった。「制限を設ける予定はない」と回答したのは12社で、別の大手メーカーは「(AIを利用したかどうか)現実的に確認は難しい」と説明した。
【時事通信社】 〔写真説明〕対話型の生成AI(人工知能)に、「就職活動の入社試験で志望動機をどう答えればいいか」などと質問した際に表示された回答=25日
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