- 2023/06/29 掲載
来年インフレ再加速なら政策転換、為替「注意深く監視」=日銀総裁
[シントラ(ポルトガル) 28日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は28日、欧州中央銀行(ECB)主催のセミナーで、インフレ率が鈍化した後に2024年に再び加速することが「合理的に確信」できれば日銀が金融政策を転換する十分な理由になると述べた。
日銀は、過去の輸入物価上昇の影響が薄れるためインフレ率上昇が「しばらくの間」鈍化し、その後24年に再び上昇すると予想している。しかし植田氏は、24年に再上昇に転じるかは不透明だと述べた。
またヘッドラインインフレ率(総合インフレ率)は3%を超えているが、基調的インフレ率は日銀の目標である2%を下回っているため、金融緩和を続けていると指摘。賃金の伸びもインフレ見通しを判断する重要な要素であり、インフレ率が安定して2%超となるためには、賃金の伸びが一貫して2%を大きく上回らなければならないとした。
植田総裁は、十分な賃金上昇を伴ってインフレ率の2%回帰を持続的に達成するには「まだ幾分の距離がある」と語った。
日本円については、他の中銀の政策など「(日銀の)金融政策以外の多くの要因」に影響されるとし、「状況を非常に注意深く監視する」と言及。為替介入の可能性について、その判断は財務省にあるとした。
日本の人口減少により労働市場はタイトな状態が当面続くと想定されることは、企業に賃上げ継続を促す「良い兆候だ」とした。また、インフレ期待や企業の価格設定行動にも変化が見られると指摘した。
ただ、それでも日銀はインフレ期待をゼロから2%に押し上げるのに苦戦しており、世界的に中銀が一斉に金融引き締めを行う中、緩和を続ける異例の存在となっている。植田氏は「インフレ期待が上昇する兆しは見えているが、完全に2%に達するほどではない」とした。
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