- 2023/06/29 掲載
電力大手、経営責任追及の声=不祥事続出で解任提案も―株主総会
電力大手各社は28日、各地で定時株主総会を開催した。顧客情報の不正閲覧やカルテルなど不祥事が相次いで発覚したことを受け、複数の総会で株主が取締役の解任や報酬減額などを提案。株主提案はいずれも否決されたが、経営責任を厳しく追及する声が上がった。
不正閲覧で業務改善命令を受けた関西電力の総会では、森望社長の解任案が出された。株主は「まともな会社に生まれ変わるための十分なリーダーシップを発揮していない」と厳しく批判。森氏は「不適切な事案が相次いでいることを重く受け止めている。信頼回復が最重要の課題だ」と陳謝した。
電力大手では、送配電子会社が保有する新電力の顧客情報を親会社の営業部門が不正に閲覧。関電では営業活動に一部利用していたことも発覚した。こうした事態を受け、中部電力などでは送配電子会社を売却するよう求める提案も出た。
カルテル問題を巡っては、公正取引委員会が顧客獲得競争を制限したとして、中国電力や九州電力などに計約1010億円の課徴金納付を命令。中国電の株主は、総会で不祥事が起こる原因について「企業風土ではないか」と指摘し、不信感をあらわにした。
東京電力ホールディングスの総会では、東電福島第1原発から出た処理水の海洋放出を巡り、「漁業者との約束を踏みにじり、欺くものだ」と厳しい声が上がった。同社や中部電に対しては、環境NGOが2050年の脱炭素目標に沿った投資方針の策定や開示を求めた。
【時事通信社】 〔写真説明〕関西電力の株主総会に向かう株主ら=28日午前、大阪市住之江区
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