- 2023/07/01 掲載
円安、昨年の介入水準迫る=高まる市場の警戒感
円安が止まらない。東京外国為替市場で30日、円相場が一時1ドル=145円台と7カ月半ぶりの水準に下落した。政府・日銀が24年ぶりの円買い・ドル売り介入に踏み切った昨年9月の145円台後半に迫っており、市場では介入への警戒感が高まっている。
あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは「円買い介入への警戒ラインは、昨年と同じ145円台後半だろう」と指摘する。通貨当局の口先介入や日銀の金融緩和修正観測などは円安抑制要因だ。ただ、金融引き締めを続ける米欧中央銀行と、緩和姿勢を維持する日銀との政策の違いを背景に、投機筋の円売りが継続すれば、「いつ(介入を)やってもおかしくない」とみる。
一方、インバウンド(訪日客)が急回復するなど「円安メリット」がサービス業中心に広がっている。輸入物価上昇などの「悪い円安」論が浮上した昨年秋とは状況が異なる。外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は「水準的には介入もあり得る」としつつも、実際に踏み切る可能性は低いと予想している。
鈴木俊一財務相は「行き過ぎた動きに対しては適切に対応していく」と発言するなど、当局による市場へのけん制が続いている。上田東短フォレックスの阪井勇蔵営業企画室室長は「当面は口先介入で食い止める狙いだろうが、(節目の)150円近辺まで円安が進めば『実弾介入』もある」と分析している。
【時事通信社】 〔写真説明〕日本円の対米ドルレートを表示するモニター=30日、東京都内(AFP時事)
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