- 2023/07/01 掲載
NY市場サマリー(30日)ドル下落、長期債利回り低下 米株上昇
<為替> 主要通貨に対するドル指数が3日ぶりに反落した。朝方発表された5月の米個人消費支出(PCE)価格指数が前年同月比、前月比ともに伸びが鈍化し、個人消費も停滞したことで、米連邦準備理事会(FRB)が積極的な利上げを継続する可能性に懐疑的な見方が広がった。
5月のPCE価格指数は前年比3.8%上昇と、伸びは前月の4.3%から鈍化し、2021年4月以降で最小となった。ただ依然として、FRBの目標である2%は上回っている。
アネックス・ウェルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏は「とりわけインフレ調整後の支出は低調だった」とし、「インフレは鈍化傾向にあるが、2%回帰への道のりは長い」と述べた。
CMEのフェドウォッチによると、市場が織り込む7月米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%ポイント利上げの確率は84.3%。前日は89.3%だった。
シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は30日、7月終盤のFOMCまでに「多くのデータ」を分析し、インフレ抑制に向け追加利上げを実施すべきか見極めるという認識を示した。
終盤の取引で、ドル指数は0.426%安の102.880。週間では横ばい、四半期ベースでは0.3%上昇、上期としては0.6%下落した。
円は対ドルで0.35%高の144.26円。一時、節目となる145円を突破し、7カ月ぶり安値を付ける場面もあった。
円を巡っては、当局による介入に対する警戒感が続いている。鈴木俊一財務相は30日、為替市場の動向について「非常に高い緊張感をもって注視している」との認識を示した上で、「行き過ぎた動きに対しては適切に対応しなければならない」と述べた。
ドルは第2・四半期に対円で約9%上昇した。
ユーロ/ドルは0.43%高の1.0911ドル。欧州連合(EU)統計局が発表した6月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)速報値は、前年同月比5.5%上昇し3カ月連続で伸びが縮小したものの、 欧州中央銀行(ECB)が7月の理事会で利上げを見送る公算は小さいとみられる。
英ポンド/ドルは0.66%高の1.2695ドル。第1・四半期の英国内総生産(GDP)確報値は前期比0.1%増で、速報値から修正はなかった。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 米長期債利回りが低下した。5月の個人消費支出(PCE)価格指数の伸びが、前年同月比、前月比ともに鈍化したことを受けた。
ただ、米連邦準備理事会(FRB)が7月25─26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で再び利上げに踏み切るとの観測から、利回りは短期ゾーンが上昇する場面もあった。
2年国債利回りは0.1ベーシスポイント(bp)上昇の4.879%、指標となる10年債利回りは4.1bp低下の3.813%だった。
ジェフリーズのマネーマーケットエコノミスト、トム・サイモンズ氏は「4月と5月のデータを合わせると、第2・四半期は第1・四半期に比べて消費がかなり鈍化したことを示唆している」と述べた。債券市場は、あと2回の利上げというFRBの予想を織り込んでいるが、「データは消費者が成長についていくのがますます難しくなっていることを示し始めている」という。
米商務省が30日発表した5月のPCE価格指数は前年比3.8%上昇と、伸びは前月の4.3%から鈍化し、2021年4月以降で最小となった。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数も前年比4.6%上昇と、前月の4.7%から鈍化した。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、同金利は2024年5月上旬まで5%を上回り、金利が長期的に高止まりすると予想されている。CMEグループのフェドウオッチによると、FRBが7月に再利上げを実施する可能性は86.8%に達した。今週は好調な経済データが発表され、金利上昇にもかかわらず景気は底堅く推移するとの見方が市場に広がった。
2・10年債の利回り格差はマイナス106.8bpだった。
30年債利回りは6.5bp低下の3.847%だった。
物価連動国債(TIPS)と通常の国債の利回り差で期待インフレを示すブレーク・イーブン・インフレ率(BEI)は、5年物が2.209%、10年物が2.226%だった。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 主要3指数が揃って上昇して終了した。アップルの時価総額が再び3兆ドル台に乗せたことが押し上げ要因になったほか、経済指標でインフレ鈍化が示され米利上げサイクルが終了に近いとの見方が強まったことも追い風になった。
アップルはこの日の取引で、時価総額が昨年1月以来初めて再び3兆ドルの大台に乗せた。終値は2.3%高の193.97ドル。終値ベースで時価総額が3兆ドル台に乗せるのは今回が初めてとなる。株価は取引時間中に194.48ドルと、過去最高値を付けた。
上半期ベースでナスダック総合は31%以上上昇し、上半期としての上昇率は約40年ぶりの大きさを記録。ハイテク銘柄が集積するナスダック100指数は約39%上昇し、上半期としての上昇率は過去最大となった。
商務省が朝方発表した5月の個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比、前月比ともに伸びが鈍化。一方、借り入れコストが上昇する中、自動車など耐久財への消費が抑制され、5月の個人消費は停滞。第2・四半期の経済成長の勢いが大幅に失われたことが示唆された。
これを受け、米連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクルは終了に近づいている可能性があるとの見方が台頭。NFJインベストメント・グループ(テキサス州ダラス)のポートフォリオ・マネジャー、バーンズ・マッキニー氏は「景気は冷えつつあるが、それほど大きく冷え込んでいるわけではないため、全てが上昇している」と指摘。「FRBは景気を悪化させることなく、インフレを引き下げることができる可能性がある」と述べた。
CMEグループのフェドウオッチによると、FRBが7月の会合で0.25%ポイントの利上げを決定する確率は84.3%と、前日の89.3%からやや低下した。
S&Pグロース指数は1.4%上昇。アップルに次いでS&P総合500種の上昇に大きく寄与したのはマイクロソフト、エヌビディア、アマゾン・ドット・コム、メタ・プラットフォームズなど。これらの銘柄は1.6─3.6%上昇した。
S&P総合500種を構成する全ての11業種が上昇。ハイテクは1.8%上昇した。
個別銘柄では、スポーツ用品大手ナイキが2.6%安。前日発表の第1・四半期(6─8月)の売上高見通しは、最大市場の北米でインフレを背景に顧客がスニーカーやスポーツ衣料品への支出を減らしていることが響き、市場予想を下回った。
一方、クルーズ船運航大手カーニバルは9.7%高。ジェフリーズが評価を「ホールド」から「バイ」に引き上げた。
米取引所の合算出来高は103億6000万株。直近20営業日の平均は112億9000万株。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> 物価関連指標の鈍化を背景にした米長期金利の低下を受け買いが強まり、4日ぶりに反発した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比11.50ドル(0.60%)高の1オンス=1929.40ドル。金は週間では0.01%安とほぼ横ばい。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> 米国のインフレ鈍化を示唆する統計発表を好感した買いが入り、3日続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.78ドル(1.12%)高の1バレル=70.64ドル。週間では2.14%上昇。9月物は0.76ドル高の70.78ドルだった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 144.32/144.35
始値 144.62
高値 144.76
安値 144.21
ユーロ/ドル NY終値 1.0910/1.0914
始値 1.0852
高値 1.0931
安値 1.085
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 95*25.00 3.8641%
前営業日終値 94*31.00 3.9120%
10年債(指標銘柄) 17時05分 96*06.50 3.8406%
前営業日終値 96*03.00 3.8540%
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*09.50 4.1574%
前営業日終値 99*11.50 4.1430%
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*15.25 4.9038%
前営業日終値 99*16.75 4.8780%
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 34407.60 +285.18 +0.84
前営業日終値 34122.42
ナスダック総合 13787.92 +196.59 +1.45
前営業日終値 13591.33
S&P総合500種 4450.38 +53.94 +1.23
前営業日終値 4396.44
COMEX金 8月限 1929.4 +11.5
前営業日終値 1917.9
COMEX銀 9月限 2302.0 +22.2
前営業日終値 2279.8
北海ブレント 8月限 74.90 +0.56
前営業日終値 74.34
米WTI先物 8月限 70.64 +0.78
前営業日終値 69.86
CRB商品指数 261.9932 +2.9179
前営業日終値 259.0753
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