- 2023/07/01 掲載
人材引き留めへ賃上げ容認=原資確保、価格転嫁が急務
2023年度の最低賃金改定では、全国平均で1000円の大台が視野に入る。人手不足感が強まり、経営側も採用や人材引き留めのため、今回は大幅な上昇も容認せざるを得ないとの見方がある。ただ、企業にとっては原資の確保が課題で、価格転嫁対策の充実が急務だ。
「人手不足の深刻さは半端ではない」。中小企業関係者はため息を漏らす。日本商工会議所などが2月に行った中小企業対象の調査では、人手が「不足している」と回答した割合は、前年同時期から3.6ポイント増え64.3%に達した。
人材確保のため、デジタル化をはじめ生産性向上に必要な投資などを見合わせて賃上げに充てる企業も少なくない。それでも、地方の中小企業経営者からは「最低賃金では従業員を採用できない」、「採用してもすぐに辞めてしまうかもしれない」などと不安の声が上がっているという。
物価の高騰で企業収益が圧迫される中、賃上げの負担は企業に重くのしかかる。エネルギー価格の上昇分や賃上げ費用を取引価格に転嫁することが欠かせないが、取り組みは道半ばだ。関係者は「『良いものを安く』ではなく『良いものを適正な価格で』と、社会の意識を変えていかなければいけない」と訴える。
【時事通信社】
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