- 2023/07/07 掲載
「ウイスキー人材」拡充=増産・海外販路開拓へ―為定ニッカ社長
ニッカウヰスキー(東京)の為定一智社長は6日までにインタビューに応じ、「(事業を拡大するには)今の組織では余裕がない」と述べ、不足気味の原酒の増産や海外での販路開拓のため人員を増やす考えを示した。中でも味や香りの責任者であるブレンダーや実際に蒸留に携わる技術者など「ウイスキー人材」を拡充する方針だ。
ニッカは2021年までの3年間に約65億円を投資し、「余市蒸溜所」(北海道余市町)と「宮城峡蒸溜所」(仙台市)の貯蔵施設をそれぞれ増強した。為定氏は今後生産規模を拡大する上で「たる、蒸留施設は足りなくなる」とみており、さらなる投資や人材確保へ検討を進めている。
一方、為定氏は「(職人の)技術伝承が課題だ」と指摘する。親会社のアサヒビール(東京)で採用した人材を活用する場合もあるが、ウイスキー専門の人材育成は難しいという。為定氏は、ブレンドや蒸留に携わる特殊な知識を必要とする「職人」を「ニッカで育てていきたい」と語った。
ウイスキーは1983年をピークに各社が生産を縮小したが、飲み方が多様化したことで人気が再燃。ニッカ創業者の竹鶴政孝氏を題材にしたNHKドラマの影響もあり、原酒不足が続く。
「竹鶴」など日本のウイスキーは海外でも人気で、現在計60カ国・地域に輸出している。手薄なアジアを中心にさらなる販路拡大を目指すものの、まずは「(既に販路がある)欧米を深掘りする」(為定氏)戦略だ。
【時事通信社】 〔写真説明〕インタビューに答えるニッカウヰスキーの為定一智社長=東京都墨田区
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