- 2023/07/16 掲載
米FRB、利上げ路線堅持=インフレ緩和の兆しも
【ワシントン時事】昨年約40年ぶりの高水準を記録した米国のインフレに、最近は緩和の兆しが表れている。一方で、景気や雇用は堅調を維持。連邦準備制度理事会(FRB)は、基調的な物価高圧力は依然強いとして利上げ路線を堅持しており、0.25%の利上げを「年内あと2回」行う構えを示している。
12日発表された6月の消費者物価指数は前年同月比3.0%上昇。伸びは12カ月連続で鈍化し、2021年3月以来2年3カ月ぶりの低水準となった。翌日の6月卸売物価指数も0.1%とわずかな上昇にとどまり、「幅広いインフレ低下の兆候が見受けられる」(米大手銀)との声が上がった。
インフレ沈静化を示す指標を受け、市場ではFRBが今月25、26両日の次回政策会合で利上げを決めた後、政策金利を据え置くとの観測が浮上。しかし、FRB高官は「勝利宣言は時期尚早だ」とし、「年末までに2回利上げ」という前回6月会合で提示したシナリオを維持している。
背景には、FRBが景気動向に自信を深めていることがありそうだ。最新のFRB連銀景況報告では、景気判断を「ほぼ変わらず」から「わずかに拡大」へ上方修正。シリコンバレー銀行(SVB)など米中堅銀行3行の経営破綻を受けた信用不安もひとまず落ち着き、ウォラーFRB理事は13日の講演で「経済にとって重大な問題にならないと一層確信している」と明言した。
総合的なインフレ率は低下しているものの、人手不足による賃金の大幅上昇もあり労働集約型の業種が多いサービス分野の物価は高止まり気味だ。当局者の間で物価高再燃への警戒感は根強く、国際通貨基金(IMF)のコザック報道官は13日の記者会見で、FRBなどに「金融引き締め路線にとどまるよう勧告する」と述べた。
【時事通信社】 〔写真説明〕記者会見する米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長=6月14日、ワシントン(EPA時事)
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