- 2023/07/19 掲載
再送-AI開発を支援、計算能力不足に危機感=村井首相補佐官
[東京 19日 ロイター] - 政府の「AI(人工知能)戦略チーム」長を務める村井英樹首相補佐官は18日、生成AIを開発する計算能力が国内で圧倒的に不足しているとし、インフラであるスーパーコンピューターを整備する企業などの取り組みをさらに支援していく考えを示した。
村井補佐官はロイターとのインタビューで、「非常に大きな危機感がある」と強調。AI関連の支援の中でも「より政府が力を入れていくべき分野」と語った。
日本では産業技術総合研究所のスーパーコンピューター「ABCI」を3000者弱が利用する一方、その10倍の計算資源を「チャットGPT」を開発する米オープンAIが1社で利用している。政府は産総研の計算能力を3倍以上(0.8から2.8エクサフロップスまで)に拡充する考えで、ソフトバンクやさくらインターネットが整備する民間のスパコンに半額補助することを決めている。
それでも絶対量で米国に及ばないが、村井補佐官は「一定以上の計算資源を準備することでAI時代に対応できるだけの基盤を作っていく」と説明。米大リーグで活躍するエンゼルスの大谷翔平選手を例に挙げ、AIの分野でも世界的な企業を「日本で作れるような環境整備に取り組む」と述べた。
AIを巡っては、欧州連合(EU)の欧州議会が厳格な規制法案を打ち出し、生成されたコンテンツやAI開発に使用した著作物の開示を企業に義務付ける規制で足並みをそろえるようアジア諸国に働きかけている。
法律に基づかない緩やかな規制を検討する日本との違いが際立っているが、村井補佐官は「考え方や政策で違う部分が見えているのだとしたら、そういうところをできるだけ距離を縮めていく作業をある意味でしている」と語った。主要7カ国(G7)の議長国として議論をリードしていく考えで、国内のAI戦略会議を近日中に開催し、検討を加速する意向を示した。
政府は各省庁で作成したAIに関する開発事業者や提供事業者向けのガイドライン(指針)を統合する方針で、年内にも指針案を取りまとめる。
*インタビューは18日に実施しました。
(浦中美穂、Tim Kelly、Sam Nussey 編集:久保信博)
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