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  • 2023/08/07 掲載

アングル:米国株、7月CPIと米国債利回りが当面の流れ左右か

ロイター

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[ニューヨーク 4日 ロイター] - 今年に入って大幅に上昇している米株式市場は、待ちに待った7月米消費者物価指数(CPI)の発表と米国債利回りの動向によって当面の流れが左右されそうだ。

S&P総合500種指数は景気通しの改善、人工知能(AI)技術への期待、連邦準備理事会(FRB)の利上げ終了が近いことを示す兆候などを追い風に年初来で16.6%上昇している。

しかし株価の短期的な動きは10日発表の7月CPIが落ち着いた数字を続けるかどうかで決まることになりそうだ。また米国債利回りはこの数日、年初来の最高水準を更新して株式市場を揺さぶっており、投資家は利回りの動きも注視している。S&P500種は7月30日からの週に2.27%下落し、週間として3月10日以来の大幅な下げとなった。

ナティクシス・インベストメント・マネージャーズのリード・ポートフォリオ・ストラテジスト兼ポートフォリオマネジャー、ジャック・ジャナシェヴィッチ氏は、「株価が大きく上昇しているだけに、(マクロ統計で)何か大きな動きがあれば利食いの口実にされるだろう」と述べた。

このところ消費者物価はそれほど急上昇していないが、一部の投資家はインフレの高止まりによってFRBは想定以上の長期間にわたり金利を現行水準にとどめざるを得なくなるのではないかと危惧している。

4日発表の7月米雇用統計は景気が引き続き緩やかなペースの雇用増加を維持していることを示した。ただ賃金の伸びは年4.4%と予想を超えており、FRBが目標とする2%の物価上昇率を達成するには伸びが大きすぎると懸念する声も聞かれる。

ナティクシスのジャナシェヴィッチ氏は、7月CPIが予想を上回ればS&P500は最大5%下落する可能性があるとみている。S&P500が今年大幅に上昇していることを考えれば、この程度の下落は「健全」だという。

利益確定に動いた投資家もいる。ヘッジファンド、リカーブ・キャピタルのマネジングパートナー、アーロン・チャン氏は、高値警戒感からアマゾン・ドット・コム(年初来の株価上昇率は68%)やノルウェージャン・クルーズ・ライン(同47%)などの持ち高を縮小した。

リフィニティブ・データストリームによるとS&P500は1年後利益見通しに基づく株価収益率(PER)が19.5倍前後と長期平均の約15.6倍に比べてかなり割高な水準だ。

T・ロウ・プライスのキャピタル・マーケット・ストラテジスト、ティム・マレー氏は、今後数カ月のインフレにより大きな影響を与える可能性があるのは世界的な原油や食料の値上がりで、これらの価格はFRBの利上げではほとんどコントロールできないと指摘した。

北海ブレント価格は世界的な供給逼迫と需要増加の兆しを背景い6週連続で上昇。この間の上昇率は約17%に達した。

オールスプリングのアン・ミレッティ氏は、「CPIが横ばいかもしくは減速トレンドにある限り市場は全面的に受け入れる」と予想。一方、「CPIが上振れた場合は、実際のところそれがどの局面なのか、またそれを一時的な動きだと投資家が考えるかどうか次第だ」と付け加えた。

ミレッティ氏は小型株など出遅れている銘柄に強気になりつつある。

7月CPIが予想を上回れば米国債利回りはさらに上昇(価格は下落)する可能性がある。米国債利回りはフィッチによる米格付けの引き下げと、第3・四半期に国債が大量に供給されるとの見通しを背景に、7月30日の週に急上昇。指標となる10年物米国債利回りは4日の雇用統計発表後に急低下したものの、引き続き昨年11月以来となる4%超を保っている。

米国債利回りの上昇で株式の魅力が削がれるかもしれない。また金利が上昇すると、ドル相場が動かなければ企業のキャッシュフローは目減りする。

トゥルーイスト・アドバイザリー・サービシズの共同最高投資責任者、キース・ラーナー氏は「10年物米国債利回りの4%超えは、既に高騰している株式のバリュエーションの一段の上昇にとって逆風になる」との見方を示した。

一方、株高継続の好材料には事欠かない。アップルは決算内容が期待外れで4日に株価が下げたが、グーグル親会社アルファベットとアマゾンの決算はアナリストの予想を上回った。

リフィニティブIBESのデータによるとS&P500構成企業の79%以上は第2・四半期の決算が予想を超えた。また最近バンク・オブ・アメリカ・グローバル・リサーチとJPモルガンのアナリストは米景気後退入りの予測を見直した。

それでも一部の市場関係者は、投資家は目先の混乱を耐えざるを得なくなるかもしれないと懸念している。

トゥルーイスト・アドバイザリーのラーナー氏は、「われわれの見立てでは、市場は年初来の力強い上昇を消化するのに時間が必要で、不安定な期間に入るだろう」と慎重な姿勢を崩さなかった。

(Carolina Mandl記者)

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