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  • YCC修正前後に円債買い加速、マイナス金利解除は24年後半以降=日生・都築氏

  • 2023/08/09 掲載

YCC修正前後に円債買い加速、マイナス金利解除は24年後半以降=日生・都築氏

ロイター

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植竹知子

[東京 9日 ロイター] - 日本生命保険の都築彰・執行役員財務企画部長は、ロイターとのインタビューで、日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用柔軟化をにらんだ国内金利上昇の機を捉えて、超長期国債の買いに動いたと明らかにした。また年後半は米景気が減速して利下げも視野に入るとの想定に基づき、日銀がマイナス金利を解除するのは2024年後半以降との見方を示した。   

インタビューは8日に実施。主なやり取りは以下の通り。 ──23年度入りして4カ月。ここまでの運用状況は。

「日本国債は4─6月の金利が想定より低く、投資は控えめにした。日銀の政策については、6月のYCC修正を見込んでいたのが7月になったが、変更内容はほぼ予想通り。当社の投資対象は30年債中心だが、日銀会合前から少し金利が上がったため、その時から買いを増やし、YCC修正後にも買い増しを行った。これで4─6月に控えた分を取り戻し、本日時点では年間購入予定額を均等に割った『平準ペース』に追いついた」

「金利の居どころ探しが続いている。10年は0.5%からは上放れしたが、1%までのどこが落ち着きどころか探る最中で、流動性自体はまだ戻っていない。まだもう少し上がるか、この辺りで落ち着くかを見極めながら投資を考える。金利が上がればもう少し買いを加速する。30年金利が1.6%と前より投資しやすいのは確かだが、YCC修正後にその位に上がるのは年度初の想定通りで、計画した以上に増やすとはならない」

「一方、当社の負債のコスト(利回り)は平均で1.9%程度だが、もし30年金利が2%近くに上昇すればそれを上回ってくるので、アロケーションを当初計画より30年債にシフトさせることも検討する。その場合、代わりに外債を売却するなどとは言えない。何かを売る以外にも資金の向け方はいろいろあり、売る物もその時の状況次第だ」

「国内株式・外国株式は今年度に入って想定以上に上昇したので、一定程度、計画より多めに利益確定を行った。その利益は円債の入れ替えに活用できている」

──日米の景気・金融政策の見通しは。

「日銀の次の一手について市場には様々な見方がある。マイナス金利解除は、預金金利とか経済への影響が大きく、日銀も物価や賃上げなどをきっちり確認して慎重にするはず。当社では24年に入るとインフレが少し落ち着くとみており、日銀の見方と近いが、そうなるとマイナス金利解除というのは難しいと思う」

「マイナス金利解除は24年にもなかなかできないと思っている。米景気が今年下期からスローダウンして利上げは終了との見通しをメインシナリオとしており、米国で次の一手として利下げが視野に入ってくる中で日銀が利上げできるかと言えばハードルが高い。また日本の景気も米国の景気に影響されるため、減速しそうな状況で利上げすれば、国内景気が腰折れしてしまう」

「(マイナス金利解除は)米景気が次の上昇サイクルに入る局面がやりやすい。あるいは米国が大して景気減速せず追加利上げができる状態なら、日本もやりやすい可能性はある。ただメインシナリオでは米景気のスローダウンを見込んでいるので、その場合は日銀が来年4月に動くハードルは高く、24年後半以降にグローバルな景気回復を待ってになるだろう」

「YCCの完全撤廃については、長期金利が1%の上限に張り付いて副作用が起きればそういう議論も起こり得るが、当社は0.5─1%のどこかで落ち着くとの見通しなので、10月とか年内に動くとはみていない。市場に引き締めと受け止められるのもマイナスで、日銀は緩和を続けるスタンスは維持したいはずだ」

──年度下期の運用計画の方向性は。

「当社のメインシナリオでは米利上げはもう打ち止めで、しばらく金利を据え置いた後、24年に少し利下げするとみている。その想定通りならアロケーションは変えなくていい。米10年金利は今の4%台からは低下して年度末見通しは3%台半ば。日本の10年金利は年度末に0.6%、30年は1.5%付近とみており、この後もう少し上昇するかもしれないが、結局は今よりやや下がると予想する」

「為替は年度末のドル円が125円で、年度初に立てた見通しをまだ変えていない。米国の景気減速と金利低下、さらに当社の見方とは異なるが日銀がマイナス金利を解除するとの思惑も来年4月にかけて高まると思われ、今より円高方向にみている」

「円金利が少し上昇したことは、円債メインに資産運用を行う当社の投資にポジティブ。ただ、日本の金融政策や米国の景気・金融政策などまだ不確定要素が多く、予想が難しい相場が続いている。資金配分も年度初に決めたものをそのままでなく、サブシナリオを想定しながら機動的に変えていかなくてはならない」

(インタビュアー:植竹知子 編集:石田仁志)

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