- 2023/09/02 掲載
公的資金、完済に10年超も=収益力の抜本強化課題―SBI新生銀
SBIホールディングス(HD)傘下、SBI新生銀行の非上場化が臨時株主総会で承認された。最大の経営課題である公的資金の完済に向け、返済方法の自由度を高めるのが狙い。国への配当などを通じて分割返済する案が有力だが、完済まで10年以上の長い期間を要する公算が大きい。返済原資を捻出する収益力の抜本強化も課題だ。
SBI新生銀に残る公的資金約3500億円の返済を難しくしたのは、2008年までに国保有の優先株が普通株に転換されたためだ。国が公的資金を回収するには、保有株を1株7500円程度で売却しないといけないが、足元の株価は2800円程度で推移。株価を3倍近くに引き上げるのは現実的ではなかった。非上場化で、市場の株価に左右されずに返済方法を検討できるようになる。
SBIHD、SBI新生銀は今後、国との間で具体的な返済方法について協議を本格化させ、25年6月末までに合意する。東洋大学の野崎浩成教授(金融論)は「あおぞら銀行の手法がある」と指摘。同じく公的資金が注入されたあおぞら銀は、国に特別優先配当金を分割して支払うなどして15年に完済。SBI新生銀は国保有の普通株を優先株に再転換し、配当で分割返済する可能性が高いという。
ただ、SBI新生銀の23年3月期の配当金総額は24億円。収益力を飛躍的に高めないと完済の道のりは遠い。SBIHDは構築を目指す「地銀連合構想」の中核にSBI新生銀を据え、地域金融機関に協調融資や経営アドバイスなどの金融サービスを提供し、顧客基盤の強化を目指すが、取り組みは緒に就いたばかりだ。
金融機関として十分な自己資本を確保しながら、公的資金を返済していく必要もあり、「10年、15年のスパンで毎年払い続ける(のが基本路線)」(野崎氏)とされている。
【時事通信社】
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