- 2023/09/02 掲載
労働需給逼迫、和らぐ兆し=政策運営、微妙な局面に―米FRB
【ワシントン時事】1日発表された8月の雇用統計では、インフレ圧力をもたらしてきた労働需給の逼迫(ひっぱく)が和らぐ兆しが示された。堅調な景気を背景に、雇用情勢は「なおも強い」(連邦準備制度理事会=FRB=高官)状況に変わりはないものの、追加利上げを巡り、FRBは政策運営で微妙なかじ取りを迫られている。
8月の失業率は3.8%と、前月比0.3ポイント上昇。市場予想の3.5%を上回った。一見悪化したようだが、求職者の増加という「良い理由」(米エコノミスト)が背景とみられる。求人件数の減少傾向と併せ、「労働市場の(需給)バランスを取り戻す動きは続く」(パウエル議長)というFRBの予測を裏付けた形だ。
一方、景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は18万7000人増と、伸びは前月から拡大。昨年に比べれば鈍化傾向にあるとはいえ、堅調さを保っており、市場予想も上回った。平均時給の伸び率は前年同月比4.3%と高水準を保ち、当局が目指す物価安定を妨げている。
パウエル氏は8月25日の講演で、物価の安定を回復するには経済成長が潜在力を上回る状況が収まり、「労働市場がもう少し落ち着くことが必要だ」と分析した。米景気は好調を維持しており、まだ当局がインフレ封じ込めを確信できる状況にはない。
急激な利上げの結果、米政策金利は既に年5.25~5.50%と「景気抑制的」(パウエル氏)な水準にある。ただ、2%の物価目標を達成する上で「十分に抑制的かどうかが問題」(前出の高官)とされており、FRBは今月19、20日の次回政策会合で改めて経済指標を点検し、利上げか、金利据え置きかを慎重に判断する構えだ。
【時事通信社】
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