• 2023/10/02 掲載

アングル:米コアPCE物価鈍化が鮮明、インフレ退治さらに前進

ロイター

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Howard Schneider

[ワシントン 29日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が重視する物価指標の8月分が非常に落ち着いた数字となり、「インフレとの戦い」がさらに一歩前進した。雇用や経済成長が予想外の強さを保っているにもかかわらず、物価圧力が着実に弱まっていることも改めて示された。

9月29日に発表された8月の個人消費支出(PCE)物価指数の食品・エネルギーを除くコアベースの前月比上昇率はわずか1.0%。前年比上昇率は7月の4.3%から3.9%に下振れた。

またエネルギー・住宅を除くPCEサービス価格、いわゆる「スーパーコア」の前月比上昇率も7月の0.5%から0.1%に鈍化。過去何カ月間もFRBにとって懸念要素だったサービス分野の重要部分も、価格上昇の勢いが緩やかになっている可能性がうかがえる。

こうした流れが続けば、10月31日―11月1日に開催される次回の連邦公開市場委員会(FOMC)でも、政策金利が据え置かれる公算が大きくなる。

直近のFOMCメンバーの政策金利見通しには、年内にあと1回の25ベーシスポイント(bp)の利上げが想定されているものの、今回のPCE物価データを踏まえ、市場でも追加利上げの可能性は引き続き小さいとみられている。

インフレーション・インサイツのオメア・シャリフ社長は、月次データの推移から見ると、年末のコアPCE物価指数の前年比上昇率は直近のFOMCメンバーの見通しの中央値(3.7%)を大幅に下回るかもしれないと述べた。

シャリフ氏は「最も低い伸びになる場合、3.3%まで鈍化してもおかしくない。持続的な再加速が起きない限り、コアPCEの前年比上昇率がFRBの見通しに達するのは難しい」と記した。

ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は9月29日、足元の物価はまだ高過ぎるが、鈍化は続いていて2025年までにはFRBが目標とする2%に収まる軌道にあると強調するとともに、利上げは打ち止めになった可能性も示唆。「現時点の評価では、われわれは目指す政策金利のピークにあるか、近づいている」と説明した。

今回のデータで、一部のFRB当局者が強く主張しているような展開が現実化する確率も高くなった。つまり深刻な経済の落ち込みや失業率の大幅な上昇なしで、物価が安定するシナリオだ。

シカゴ地区連銀のグールズビー総裁は9月28日、「FRBには、経済を下降させずにインフレを打ち負かすという中央銀行の歴史でも希有な出来事を実現できるチャンスがある」と述べた。

これはバイデン政権にとっても歓迎すべき事態と言える。来年の大統領選では、経済問題が主要な争点の1つになりそうだからだ。

FRB副議長を務めたブレイナード国家経済会議(NEC)委員長は「雇用情勢を大きく損なわずにコア物価上昇率を抑えることなどできないというのが全ての(政権)批判派の主な論旨だったが、現実は違っている。雇用は持続的に創出され、コア物価上昇率はコロナ禍前のレンジまで鈍化してきた」と胸を張った。

実際、米国の失業率は、FRBが利上げを開始した昨年3月以降ずっと、歴史的に見て低水準の3.4―3.8%のレンジにとどまっている。

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