• 2023/10/02 掲載

アングル:米超大型株「マグニフィセント7」、国債利回り高騰で試練も

ロイター

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Lewis Krauskopf Saqib Iqbal Ahmed

[ニューヨーク 29日 ロイター] - 米国株は国債利回りの高騰で動揺しており、投資家の間では次に値を崩すのは割高感の強い主要ハイテク株や成長株ではないかとの懸念が浮上している。

アップル、マイクロソフト、アルファベット、アマゾン、エヌビディア、テスラ、メタ・プラットフォームズの超大型7銘柄は、ヒット映画のタイトルにちなんで「マグニフィセント・セブン」と呼ばれ、年初来の相場をけん引してきた。9月26日の時点でこれら7銘柄がS&P総合500種指数の総リターンに占める割合は80%強に達している。

これらの銘柄の多くは人工知能(AI)の進歩が強い追い風になっていると受け止められている。今年初めに米地銀の破綻が金融システムを揺るがした際には、超大型株の頑健なバランスシートとビジネスモデルが、資金の安全な避難先を求める投資家を惹きつけた。

しかしこれら超大型株は価格の上昇でバリュエーションが膨らんでおり、国債利回り上昇によって圧迫され続ければ足をすくわれかねない、と指摘する投資家もいる。LSEGデータストリームによると、7銘柄の平均株価収益率(PER)は31.8倍と、S&P500種全体の18.1倍をはるかに上回っている。

7銘柄はS&P500の比重の27%を占めるだけに、これらの銘柄が値を下げれば、7月の高値から6.6%下落しているS&P500種が一段安となる恐れがある。S&P500種は年初来では11%余り上昇している。

ミラー・タバクのチーフ・マーケット・ストラテジスト、マット・マレイ氏は「これら超大型ハイテク株が下げればS&P500種も下落する。そして人々は神経質になり、投資信託やETFを手放す」と話した。

既に最近の株価下落に7銘柄の一部が巻き込まれた。時価総額が最大のアップルは7月下旬から約13%下落。高値で推移してきたエヌビディアは9月に12%近く下げた。もっとも、年初来でみればアップルは32%、エヌビディアは200%近くそれぞれ上昇している。

<利回り上昇の圧力>

国債利回りの上昇は、企業や家計の借入コストを押し上げる一方、株式との間の投資競争を激化させる。

米連邦準備理事会(FRB)が政策金利を従来の予想よりも長く現在の高い水準に据え置くとのではないかとの懸念から、指標となる米10年物国債利回りは約16年ぶりの高水準に達している。

ハイテク企業や成長企業の株価は、今後数年間の大幅な利益の伸びを織り込んでいる場合が多い。利回りが上昇すると将来の予想利益が小さくなるため、特に大きな打撃を受ける傾向がある。

ノースウェスタン・ミューチュアル・ウェルス・マネジメントのシニア・ポートフォリオマネジャー、マット・スタッキー氏は「(これら大型株の)バリュエーションが高いということは、株価が実質金利の変化に左右されやすいということだ」と指摘した。

オプション市場の動きから、投資家の間で懸念が高まっていることが読み取れる。調査会社トレード・アラートによると、ナスダック100に連動するインベスコQQQ ETFの30日インプライド・ボラティリティ(IV=予想変動率)は最近22%と、4月中旬以来の水準に上昇した。

ただストラテジストの話では、ハイテク株のIV上昇はまだ市場全体の上昇とほぼ同じ。サスケハナ・フィナンシャル・グループのデリバティブ戦略部門共同責任者、クリス・マーフィー氏は、この程度で十分との考えがある以上、相場の下げが加速した場合にはボラティリティーが上昇しやすいと見ている。

確かにS&P500種が直近に下落した際にもアルファベットが7月下旬からわずかな下落にとどまるなど、一部の超大型株はかなりよく持ちこたえている。

ハイテク株や成長株など幅広い銘柄を代表するナスダック100は7月下旬以降、S&P500種指数とほぼ歩みを同じくして下げているが、年初来では約35%高を維持している。高値からの下落は7%だ。

投資家は超大型株には他にもリスクがあると見ている。

チェリー・レイン・インベストメンツのパートナー、リック・メクラー氏は、今週アマゾンを相手取って起こされた反トラスト法(独占禁止法)違反訴訟は「超大型株に新たな懸念材料をもたらした」と警告する。

AIアプリの利用拡大に対する楽観論は今年のハイテク株の支えになっているが、最終的な利益の押し上げに結びつくかどうかについては疑問があると、コザッド・アセット・マネジメントのポートフォリオマネージャー、J・ブライアント・エヴァンスは指摘する。「まだAIが持つ有望性の全体が実現したわけではない」と言う。

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