- 2023/11/13 掲載
アングル:年初来下落の米銀行株、バリュートラップか狙い目か
[ニューヨーク 10日 ロイター] - 今年売り込まれている米銀行株を巡り、このセクターの問題はしばらく続きそうだと考える懐疑派がいる一方、割安株狙いの投資家も待機している。
銀行株指数は、シリコンバレー銀行などいくつかの金融機関破綻を背景に年初から約11%下落。対照的にS&P総合500種は約15%上昇している。
BofAグローバル・リサーチのデータによると、銀行株は相対価格ベースでS&P500と比較すると最安値。一部の投資家にとってバリュエーションは魅力的なものとなっており、予想PER(株価収益率)は8倍で、S&P500の19.7倍の半分以下だ。
しかしLPLファイナンシャルのチーフグローバルストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は、銀行株がバリュートラップかどうか判断できないとしている。
重要な要素の一つは連邦準備理事会(FRB)の金融引き締めサイクルの終了が近いかどうかだ。
BofAグローバル・リサーチのアナリストは今月、投資家は金利のピークを見越して銀行株へのエクスポージャーを「選別的に」追加すべきと述べた。銀行セクターのリスクは、預金コスト上昇による利ざや圧迫や商業用不動産の問題など、大半が金利上昇に起因するものだと指摘した。
また、著名投資家ビル・グロス氏は最近、銀行セクターは底を打ったとの見方を示し、地銀株を多数保有していることを明らかにした。
BofAのアナリストが推奨する銘柄にはゴールドマン・サックスやフィフス・サード・バンコープが含まれている。
一方、多くの投資家やアナリストは銀行株に対し依然悲観的な見方をしている。歴史的に高水準の住宅ローン金利が融資を圧迫している。既存の住宅ローンの金利が相対的に低いため、借り換えの動きが出にくい。FRBが高水準の金利を長期にわたり維持する姿勢を維持していることは住宅ローン事業に打撃となり得る。
アナリストは銀行だけでなく保険会社も含む金融機関の成長予想を引き下げている。
LSEGのデータによると、金融セクターの24年の増益率は6.2%と予想されており、4月時点(11.4%)のほぼ半分となっている。
ミューレンカンプ&カンパニーのリードポートフォリオマネジャー、ジェフ・ミューレンカンプ氏は「最悪期を脱し、事態が好転しているという確証はない」と語った。
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